【井川純一の今夜も兜町で一杯】もしかして俺かね？

　今日１月１８日（水曜日）の日経平均株価は８０円８４銭高の１万８８９４円３７銭と３日ぶりに反発しました。英国のメイ首相が１７日の演説で欧州連合（ＥＵ）単一市場から完全撤退すると表明。また、トランプ次期米大統領のドル高牽制発言などが円高を誘発、朝方は１ドル＝１１２円台に入るなど急速な円高が嫌気されたんですが、売り一巡後は戻り歩調に。後場は円高一服、先物主導でプラス圏に切り返した……そんな感じですかねぇ。難しい相場が続きます。友人の市場関係者曰く「神のみぞ知る。いや神様だって分からない」。
　　　　　　　　　　　　　◆
　昨日の夕方、友人のフリーライター氏から、「居酒屋の取材で木場に来ている」との連絡が入る。取材が終わり、そこで「軽く一杯やっているので来ないか」とのお誘い。当方、昨日は珍しく多忙であり、悲しいかな誘いを断わざるを得なかった。このフリーライター氏は、依頼されれば、どんな分野の記事でも執筆する。前述の居酒屋に関する記事から株の記事までテリトリーは幅広い。もともとは証券系新聞から夕刊紙に転職、株の記事はお手の物である。

　「フリーライターだから、なんでも書くのよ。じゃないと、食っていかれないもの」と以前語っていたことを思い出す。なぜ、フリーになったか詳しく聞いたことはないが、５０歳を過ぎたあたりで、「自由にやってみたかった」と杯を傾けながら漏らしたことがあったような気がする。

　その彼が「ところで株は、これからどう動くとみている？」と聞いてきた。が、すぐに「すまん、愚問であった」と質問を取り消した。そう、まさに愚問そのもので、そんなことを当方ごときが知る由もない。久しぶりに株の記事を依頼されたが、ここマーケットから離れていたせいで、相場観が鈍っているという。今の混沌とした情勢下では、相場の見通しなんぞ当たるも八卦ってな感じだ。当然、商売だから、もっともらしいことは言えるが、実はどうなるかなんて分かるはずもないのである。

　「貧乏暇なし」という彼、それでも取材をして記事にする過程が好きだという。天下国家を語る記事だろうと、居酒屋の記事だろうが、まずは取材ありきなのだ。それを忘れない彼は、やっぱり本物の記者なんだよなぁ。

　「最近の注目株は吉野家ホールディングス<9861.T>と鳥貴族<3193.T>」と彼。ちょい呑みで吉野家、安くて美味くて鳥貴族がお薦めだという。おいおい、そりゃ注目銘柄じゃなくて、あなたの好きな店じゃないの？　まぁ、それで言えば当方は、立ち飲みの焼鳥日高も運営するハイデイ日高<7611.T>が良いよなぁ。

　彼も、フリーライターを生業にするなか、御多分にもれず懐具合はあまりよろしくない。女房曰く「あんたの周りは貧乏人ばっかり。朱に交われば赤くなる」。う～ん、否定はしにくいが、いったい誰が朱なんだろ。もしかして俺かね？　

　日暮れて道遠し。ただ考えてみれば、たいした志もないので道もさほど遠くない。我ながら、まったくもって詰まらない人生だったと思う昨今なのである。
《ＫＣ》

出所：株経ONLINE（株式会社みんかぶ）