買いの勢い勝り続伸、米決算発表を注視

著者:冨田康夫
投稿:2015/10/09 20:48

来週の東京株式市場見通し

 来週の東京株式市場は、今週の日経平均株価が合計713円高と急上昇したことに対する高値警戒感から反動の利益確定売りが当然予想される。

 ただ、心理的なフシ目となる1万7000ドル台を回復した米株式市場や、大型連休明けの中国上海株式市場の堅調など世界的に相場環境が改善するなかで、買いの勢いが継続しそうだ。来週の日経平均株価の想定レンジは1万8100~1万8900円とする。

 3連休明けは、日本に比べて一足早い米国企業の7~9月期決算の発表とそれに伴う米株式の反応が関心を集めそうで、内容次第で利上げ開始のタイミングにも影響を与える可能性もある。さらに、13~14日にかけて相次ぐ中国の重要経済指標発表も注視したい。

9日の動意株

 ツインバード工業<6897>=後場に入り大幅高。
午後1時ごろに集計中の第2四半期累計(3~8月)連結業績について、売上高を69億円から68億200万円(前年同期比13.2%増)へ下方修正した一方、営業利益を同2億6000万円から2億8600万円(同58.9%増)へ、純利益を同1億3000万円から1億6900万円(同81.7%増)へ上方修正したことが好感されている。家電量販チャネルに代表されるコンシューマー市場向け販売は苦戦したものの、BtoBビジネスを展開する法人チャネルで大型のOEM受注を獲得したほか、業務用の浴室TVも好調に推移。これに加えて、為替予約によるヘッジ効果と、国内製造比率の向上で円安の影響を吸収した。

 アイレップ<2132>=後場一段高。
同社はきょう、データフィード最適化サービス「Marketia Feed Manager」の本格提供を開始すると発表。これが買い手掛かりとなっているようだ。このサービスは、企業からの商品情報データ提供により、データフィードと呼ばれる各種商品データ(商品IDや商品名、価格、商品URL、商品説明文、商品画像など)を、自動的に各媒体の広告規定フォーマットに最適化して生成する。

 TONE<5967>=急反発。
8日の取引終了後に発表した第1四半期(6~8月)連結決算が、売上高11億1400万円(前年同期比22.5%増)、営業利益1億6500万円(同3.3倍)、純利益1億100万円(同25.2倍)と大幅増収増益となったことが好感されている。国内の建設土木市場の回復を背景に電動工具の需要が増加。海外事業も中国市場は鈍化しているものの、北米や東南アジア市場は堅調に推移し、これらが業績を牽引した。

 宮入バルブ製作所<6495>=急反発。
同社は8日、日本初のLNG燃料船にLNG低温弁が採用されたことを明らかにした。このLNG船は、日本郵船<9101>が経済産業省および国土交通省の「省エネルギー型ロジスティクス等推進事業費補助金(革新的省エネルギー型海上輸送システム実証事業)」として採択され、日本海事協会の共同研究対象事業としての支援を受けて建造が進められていたタグボート「魁(さきがけ)」が、京浜ドックで竣工した。

 ゴールドウイン<8111>=一時ストップ高。
同社は8日、Spiber(スパイバー、山形県鶴岡市)が世界で初めて開発に成功した人工合成クモ糸素材を用いたスポーツアパレル開発の皮切りとして、同社が国内で展開するアウトドアブランド「ザ・ノース・フェイス」での共同開発プロトタイプ「ムーン・パーカ」を発表。今後の商品展開などが期待されているようだ。なお、同社は9月8日にスパイバーとの事業提携および30億円の出資を発表している。

 SHIFT<3697>=急反発。
同社は8日取引終了後、16年8月期の連結業績予想を発表した。売上高は46億8700万円(前期比42.5%増)、営業利益は4億5800万円(同43.5%増)、最終利益は2億8800万円(同47.4%増)と前期に続き高変化を見込んでいる。同社はソフトウエアのテストサービスを手掛けるが、スマートフォン向けソーシャルゲームやネイティブアプリを中心としたモバイルゲーム市場活況で需要が伸びており、引き続き収益を牽引する見通し。また、企業のIT投資が回復傾向にあることも追い風となっており、これを評価する買いが集まった。
冨田康夫
株経ONLINE:編集長
配信元: 達人の予想