“米利上げを巡る不透明感”は、まだ払拭されない…!?

著者:武市佳史
投稿:2015/09/04 11:57

◆思いのほか引っ張られた昨日‐ドラギ発言

※ご注意:予想期間は9月5日と表示されていますが、本日(9月4日)の東京・欧州・NY市場の値動きを想定した記述となります。


あぁ読み違え、あそこまでユーロ円に引っ張られるとは…。

株式市場は堅調に推移し、ECB理事会も予想通り“据え置き(現状維持)”でした。
そして“インフレ/成長率見通しが引き下げ”られる中、その後に行われたドラギ総裁の記者会見では“追加緩和”もしくは“現状の金融緩和延長”を意識させるコメントが並びました。
これに伴ってユーロが全面安…、とここまではある意味で想定通りだったのですが、その後の動きはユーロドルの急落が150pipsだったのに対して、ユーロ円のそれは200pips(2円)を見せました。
このためよりユーロ円に引っ張られたドル円は、一時119.639円まで下落しています。

もっともユーロドルも急落していることは事実であることからドルには自然と買い戻し圧力がかかり、その後はNYダウや米10年債利回りの揺れ動きに引っ張られながら、最終的には120円台を回復して昨日の取引を終えています。
なお「赤字額が5ヶ月来最小を記録した米貿易収支(-418.6億ドル)」「小幅低下に留まったISM非製造業景況指数(59.0)」「事前予想には届かなかったものの、米雇用統計で+20万人超の雇用増との期待を残した新規失業保険申請件数(28.2万件)」はいずれも“ドルにとってややポジティブ”と感じていますが、昨日も目立った反応は見られませんでした。

◆本日は米雇用統計…! ただ次なる方向性が示される可能性は…?

こうした状況下、本日はその米雇用統計を迎えます。
この結果次第で“9月利上げの有無”が方向づけられる可能性が強いとなると、“注目度は自ずと高い”と考えざるを得ないところです。
事前予想は「非農業部門雇用者数:+21.8万人」「失業率:5.2%」「時間当たり平均賃金:+0.2%」ですので、まずはここからの上振れ/下振れが注目されるところです。

ただ“さらに緩和姿勢を推し進める姿勢”をECBが示したことで、余程極端な数値でなければ“FOMCまで不透明感を引きずる”可能性が否めないところです。
さらにマーケットテーマが“リスク回避/選好”から脱し切れていない感が強い中、本日も“上海株に振り回される心配がない(中国市場休場)”は良い状況ですが、その中国市場が戻ってくる週明け(7日)には“今度は米国市場が休場(レイバーデー)”というスケジュール感でもあります。
こうした特殊なスケジュール感の中で、次なる方向性が示される可能性は小さいと考えるのが自然です。

◆発表後は不安定な揺れ動きを想定

「米雇用統計の結果に沿って動意づく(揺れ動く)」が基本路線といえますが、今回に関しては「ファーストアクションに留まる」「その後は巻き戻しも含め、不安定な揺れ動き」と想定したいところです。
2番底を形成しつつある、2日安値(119.201円)を割り込まない限りは…。

◆ドル円 抵抗・支持ライン

上値5:121.256(9/1高値、ピボット2ndレジスタンス)
上値4:121.000(大台)
上値3:120.791(200日移動平均線、日足・一目均衡表基準線)
上値2:120.681(9/3高値、8/31~9/1の61.8%戻し水準、ピボット1stレジスタンス)
上値1:120.377(9/3NYタイム高値)
前営業日終値:120.071
下値1:119.911(日足・一目均衡表転換線)
下値2:119.639(9/3安値、ピボット1stサポート)
下値3:119.201(9/2安値)
下値4:119.000(大台、ピボット2ndサポート)
下値5:118.882(8/24~8/31の50%押し)

※ユーロ円やユーロドルなど、他の通貨ペアの抵抗・支持ラインは〔マーケット・チェック15分Webセミナー〕にて公開。

12:04 ドル円 抵抗・支持ライン追加
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武市佳史
株式会社マネーパートナーズ チーフアナリスト
配信元: 達人の予想