“にわか上値期待”が収まるまでは…!?

著者:武市佳史
投稿:2014/10/31 11:09

◆“ドル高”調整が優勢も、今度は“株高・円安”への思惑再浮上

※ご注意:予想期間は11月1日と表示されていますが、本日(10月31日)の東京・欧州・NY市場の値動きを想定した記述となります。


最終的に「ドル買い一服」となった昨日ですが、今度は「円売りが後押し」する展開となりました。

注目の米GDPは事前予想を上回り(+3.5%)、2期連続の増加となりました。
これが「FOMCでの“米景況楽観論”を追認する内容」と捉えられ、発表直後はドル買いが優勢でした。
しかしながら中身を見ると、最重要項目である個人消費は予想に届いておらず、設備投資も伸び悩みが窺えるなど、必ずしも良いとはいいがたい内容でした。
このためドル買いは一瞬に留まり、その後はFOMC後の往き過ぎたドル買いを調整する動きが優勢となりました。
ジワリジワリと108.80円まで値を落としたのは、このためです。

ところが「GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)の運用比率見直し報道」が流れたことで、今度は“株高・円安”への思惑が台頭しました。
「国内株式を12%⇒25%」は日経平均先物を上昇させ、つれてドル円を109円半ばへと押し上げました。

◆“さらなる上値追い”への思惑は強い

こうして“ドル買い”から“円売り”へテーマが変わったことで、本日も“さらなる上値追い”への思惑は強いと考えるのが自然です。
株高を背景にした“リスク選好姿勢”まで鑑みると、「110円の大台回復」が意識されてもおかしくありません。

◆しかし“にわか上値期待”が収っていない状況では…

しかし一部で期待感が台頭している「日銀金融政策決定会合」は“現状維持”と見られ、波乱が発生する可能性はそう高くありません。
前記した「GPIFの運用比率見直し」にしても、“具体的な数値がすでに報道されて”いる以上、『噂で(円を)売って、事実で買い戻す』となる可能性は否定できません。
展望リポートの下方修正観測は少し気になりますが、こちらも織り込まれた感があります。
なにより後退しかけた“にわか上値期待”が、昨日のテーマ移行で“息を吹き返して(というよりもさらに勢いを増して)”います。

“大きな流れは変わっていない”ことから“下値は浅い(限定される)”と見ますが、“にわか上値期待”が収まるまでは“上値が押さえられやすい”と、引き続き見たいところです。
本日は月末の週末にあたり、そして東京市場は3連休も控えていますので…。

◆ドル円 抵抗・支持ライン

上値5:110.083(10/1高値、大台)
上値4:109.894(10/3-6高値)
上値3:109.832(ピボット2ndレジスタンス)
上値2:109.543(10/15~10/23-10/27の61.8%返し、ピボット1stレジスタンス)
上値1:109.450(10/30高値)
前営業日終値:109.211
下値1:109.022(10/30の61.8%押し、大台)
下値2:108.757(10/30安値、10/27~10/30の38.2%押し、FOMC後の50%押し水準、ピボット1stサポート)
下値3:108.640(FOMC後の61.8%押し)
下値4:108.524(10/27~10/30の50%押し)
下値5:108.446(ピボット2ndサポート)

※ユーロ円やユーロドルなど、他の通貨ペアの抵抗・支持ラインは〔マーケット・チェック15分Webセミナー〕にて公開。

11:25 ドル円 抵抗・支持ライン追加
武市佳史
株式会社マネーパートナーズ チーフアナリスト
配信元: 達人の予想