“ユーロ主導の仕掛け的な動き”に要警戒を…!?

著者:武市佳史
投稿:2014/10/02 11:21

110円台到達も“ワンタッチ”、その後は“深押し”…

※ご注意:予想期間は10月3日と表示されていますが、本日(10月2日)の東京・欧州・NY市場の値動きを想定した記述となります。

“一休み”にしては、かなりの“深押し”…。

とうとうドル円は、東京タイムに2008年8月以来の110円台をつけました。
予想を下回る豪小売売上高を背景にした“豪ドル売り⇒ドル買い”が、ドル全面高へとつながったからです。
ただ無理仕掛けの感は否めず、やはり“ワンタッチ”に留まり、その後は一旦の高値達成感もあって値を下げました。
それでも109円後半では底堅い動きを見せていましたが、大きく崩れたのはまちまちとなった米経済指標でした。

ADP雇用統計(民間)こそ予想をやや上回りました(+21.3万人)が、ISM製造業景気指数(-2.4ポイントの56.8)、建設支出(-0.8%)は共に弱い内容に留まりました。
これが世界的な景気減速懸念へとつながり、NYダウ大幅安、米10年債利回りを2.40%割れへと導き、ビッグイベント前の利益確定売り/ポジション調整を促しました。
こうしてドル円は、再び109円割れへと追いやられました。

下値余地は限定的と考えるが…

もっともドル買いの流れそのものが転換したわけではなく、109円割れでは底堅さも見られています。
米雇用統計への期待にも根強いものがありますので、本日に関しては「109円ラインを挟んだ神経質な揉み合い」が想定されるところです。

昨日の急反落は、“一旦の高値達成感”、NYダウ大幅安安・米10年債利回り急低下を受けた“リスク回避姿勢の台頭”、さらにはビッグイベントを控えた“利益確定売り/ポジション調整”が一気に重なったものといえます。
つまりそれらが今後も継続して重なるとは、想定しづらいところです。
またドル上昇スピードを読み違えた国内輸入筋のドル買いはすかさず入っていることを考えると、ここからの下値余地は限定的と考えるのが自然ということになります。

しかし仕掛け的なドル売りに要注意…!

ただし昨日安値のすぐ下(108.83円)には、“9/16~10/1の38.2%押し”が通っています。
これを割り込むと“同50%押し(108.45円)”“9/23安値(108.24円)”“同61.8%押し(108.06円)”に向けて、仕掛け的なドル売りが蠢き出す可能性は否定できません。

基本的には「底堅く」推移し、「2002/1/31-2007/6/22を結ぶ長期トレンドライン(109.21円)」回復に向けた動きを想定していますが、それでも本日はECB理事会、その後にドラギ総裁の記者会見が予定されています。
“ユーロ主導の波乱”を見計らった仕掛け的な動きには、注意しておきたいところです。

ドル円 抵抗・支持ライン

上値5:109.691(ピボット1stレジスタンス)
上値4:109.611(10/1高値後の61.8%戻し)
上値3:109.465(10/1高値後の50%戻し)
上値2:109.320(10/1高値後の38.2%戻し)
上値1:109.218(02/1/31-07/6/22を結ぶトレンドライン、日足・一目均衡表転換線)
前営業日終値:108.895
下値1:108.835(9/16~10/1の38.2%押し)
下値2:108.678(9/23~10/1の76.4%押し)
下値3:108.458(9/24-26安値、9/16~10/1の50%押し、ピボット1stサポート)
下値4:108.244(9/23安値)
下値5:108.064(9/16~10/1の61.8%押し、20日移動平均線、ピボット2ndサポート、大台)

※ユーロ円やユーロドルなど、他の通貨ペアの抵抗・支持ラインは〔マーケット・チェック15分Webセミナー〕にて公開。

12:01 ドル円 抵抗・支持ライン追加
武市佳史
株式会社マネーパートナーズ チーフアナリスト
配信元: 達人の予想