買い姿勢堅持し続伸、1ドル=102円台が支援

著者:冨田康夫
投稿:2014/07/30 19:17

31日の株式相場見通し

 31日の東京株式市場は、現地30日発表の米連邦公開市場委員会(FOMC)や米4~6月期のGDP速報値の内容に左右される可能性がある。ただ、引き続き4~6月期の決算と今後の業績見通しが好調な銘柄に対する物色意欲は持続することが予想され、日経平均株価は続伸となりそうだ。

 30日の東京株式市場は、好決算銘柄への継続買いに加え、1ドル=102円台という外国為替市場での円安・ドル高推移などが支援となり、日経平均株価終値は、前日比28円高の1万5646円と4日続伸した。ただ、日経平均株価が上昇したにもかかわらず、東証1部の値上がり銘柄数701、対して値下がり銘柄数は948(変わらずは166銘柄)と、値下がりが値上がりを大きく上回った。

 市場関係者からは「きょう寄り付き前に経済産業省が発表した6月の鉱工業生産指数速報値が前月比3.3%減と、11年3月以来の大幅な下落となったものの、これに対する株価の反応は限定的で、全般地合いの堅調さを物語っている」との見方が出ていた。

<動意株・30日>(大引け)=アライドアーキ、北越工、ラサ工など

 アライドアーキテクツ<6081>=後場急伸。
同社はきょう、子会社のアライド・アジア・パシフィックがフェイスブック広告の公式APIパートナーに認定されたと発表。これが材料視されているようだ。同時にフェイスブック広告のクリエイティブ制作に特化したクラウドソーシングサービスを開発したことも公表。Nanigans社(米国マサチューセッツ州)とパートナー契約を結び、世界各国に向けてサービスの提供を開始する。

 北越工業<6364>=大幅高で4連騰。
エンジンコンプレッサーで高いシェアを持つほか、移動式発電機なども手掛けており、政策恩恵を受けた首都圏を中心とする旺盛な建設需要が売り上げを押し上げる。15年3月期第1四半期の連結決算は売上高が前年同期比18.6%増の79億8300万円、最終利益は同50.6%増の5億7000万円と急増した。15年3月期通期は最終利益18億7000万円と過去ピーク利益を連続更新する見通し。

 ラサ工業<4022>=堅調。
国土交通省は4月に提出されていたリニア中央新幹線の環境アセスメントに関して承認、今秋にも着工のメドが立っている。そのなか同社は機械部門で掘削機を手掛け、リニア関連工事の8割を占めるといわれるトンネル工事で商機をとらえる可能性が高い。きょうは一時8%高超の160円まで買われる場面があった。

 丸藤シートパイル<8046>=大幅高。
同社は東日本を地盤に建設仮設材の販売を手掛けるほか、鋼鉄製の矢板で土木工事の仕切り材であるシートパイルの大手。2027年に開業が予定されるリニア中央新幹線は、今秋の着工が有力視されているが、総工事費9兆円と試算されるなかで、トンネル関連工事に充てられるウエイトが大半を占めている。その際、同社の手掛ける商品の需要増が見込まれ、大深度工事対応の新たな工法開発で共同特許を取得していることも思惑を呼んでいる。

 モブキャスト<3664>=大幅続伸。
同社は29日に、「セガラリー」や「ルミネス」などを手掛けた水口哲也氏がプロデュースする新作パズルゲームを今冬にリリースすると発表。これが買い手掛かりとなっているようだ。現時点でのタイトルは未定だが、グローバル配信を視野に海外のディストリビューターとライセンス交渉を行っており、順次展開国を拡大していく計画としている。

 FDK<6955>=動意含み。
同社は富士通系で電池やモジュールなどの電子デバイスを生産、その技術力に定評がある。最近も、超小型のパワーインダクターや絶縁型モジュールなど矢継ぎ早に新商品の開発を開示しており、その都度株価も刺激されていたが、今回、クレジットカードなどの小型カードに組み込み可能な超薄型2次電池を開発したことが報じられ、短期値幅取りを狙った投機資金の買いを呼び込んでいる。
冨田康夫
株経ONLINE:編集長
配信元: 達人の予想