“利益確定売り”より、“巻き戻し+仕掛け的な動き”が上回る…!?

著者:武市佳史
投稿:2017/08/16 11:04

◆“12月米利上げ観測”が増幅 - ドル円急伸

※ご注意:予想期間は8月17日と表示されていますが、本日(8月16日)の東京・欧州・NY市場の値動きを想定した記述となります。


“北朝鮮情勢(リスク回避)”が後退する中、昨日も“米金利先高観”が後押しとなりました。

米小売売上高(+0.6%)は2016年12月以来の高い伸びを示し、NY連銀製造業景気指数は(25.2)は2014年9月以来の水準を記録したからです。
また企業在庫(+0.5%)/NAHB住宅市場指数(68)も好内容となっており、後退していた“12月米利上げ観測”は大きく盛り返しました。
米10年国債利回りが一時2.28%に上昇する中、ドル円は110.846円へと上値を伸ばしています。

◆「そろそろ上値が押さえられる?」は警戒が必要だが…?

「米景気が予想通りならば、年内利上げを支持(ダドリーNY連銀総裁)」の直後に、“米経済指標が軒並み上振れ”ということもあり、思った以上に“ドルがしっかり”としている印象があります。
“北朝鮮情勢”が依然として不透明であることを考えると、「そろそろ上値が押さえられる?」といった展開も想定せざるを得ないところです。

◆押さえ込まれている“20日移動平均線”を明確に抜けると…!?

ただし本日は「比較的早期にバランスシート縮小を開始」とされた、7月FOMC(米連邦公開市場委員会)の議事要旨が公表されています。
すでに“9月バランスシート縮小”は織り込まれているだけに“材料視されない”との見方が有力ですが、“12月米利上げ観測”が盛り返しを見せつつある中での公表です。
“もう一段の後押し”となっても、何ら不思議ではありません。

テクニカル的には“20日移動平均線(本日は110.590円)”に押さえ込まれている格好ですが、抜けると“7/11~8/11の38.2%戻し(110.931円)”を経て“100日移動平均線(同111.286円)”まで主だった抵抗ラインは見当たりません。
“1円強の上昇”を見せた昨日の動きを考えると“目先は利益確定売り先行”と見るのが自然ということになりますが、それでも“巻き戻し”+“仕掛け的な動き”は健在…。
111円回復に向けた“もう一段の上伸”は、十分可能と考えたいところです。

◆ドル円 抵抗・支持ライン

上値5:111.328(7/28高値、100日移動平均線)
上値4:111.144(ピボット1stレジスタンス)
上値3:111.047(8/4高値、大台)
上値2:110.916(8/7高値、7/11~8/11の38.2%戻し)
上値1:110.846(8/15高値)
前営業日終値:110.672
下値1:110.304(8/14高値後の押し目~8/15の38.2%押し)
下値2:110.137(8/14高値後の押し目~8/15の50%押し)
下値3:110.037(8/11~8/15の38.2%押し、8/14高値後の押し目~8/15の61.8%押し、大台)
下値4:109.888(日足・一目均衡表転換線、ピボット1stサポート)
下値5:109.787(8/11~8/15の50%押し)

※ユーロ円やユーロドルなど、他の通貨ペアの抵抗・支持ラインは〔マーケット・チェック15分Webセミナー〕にて公開。

11:18 ドル円 抵抗・支持ライン追加
武市佳史
株式会社マネーパートナーズ チーフアナリスト
配信元: 達人の予想