“一気に上値を試す”が抑制される間は、“懸念より期待が上回る”…!?

著者:武市佳史
投稿:2017/06/28 11:32

◆ユーロ急伸をキッカケに、ドル円再上昇…

※ご注意:予想期間は6月29日と表示されていますが、本日(6月28日)の東京・欧州・NY市場の値動きを想定した記述となります。


東京タイム序盤には“仕掛け的なドル買い”にて112円ラインを突破しましたが、その後は“達成感(一服感)”によるポジション調整が広がりました。
欧州タイム序盤には111円46円水準まで押し戻されるなど、“上値の重さ”が際立つ場面も見られています。
懸念した“にわか上値期待”が早くも…?とも見られましたが、欧州タイム以降は再び上値を模索しました。
ただし昨日の主役は『ドル』ではなく、『ユーロ』でした。

 「足元のインフレを抑制する要因は一時的なもの」

ドラギECB総裁のこの発言は、“欧テーパリング(量的緩和策縮小)への思惑”をにわかに再燃させ、独10年国債利回りが急上昇する中、“ユーロドルを170pips超”そして“ユーロ円を2.5円超”の急伸を演じています。
そして独国債利回り上昇に引っ張られたことで、米10年債利回りは“2.12%⇒2.21%”の急反発となり、ドル買いを促しました。
対ドルよりも対円でユーロ買い圧力が勝ったことも後押しとなり、ドル円は“112.46円水準”へと駆け上がっています。

◆“円売り安心感”は維持されやすい…

ユーロ買いは“ドル売りを促す要因の一つ”ではありますが、昨日のドラギ発言は「金融政策の正常化競争は、日銀が最下位確定」を促す要因といえます。
一部で話題になっている“円キャリートレード”をさらに促す要因となるだけに、“円の売り安心感”が高い水準で維持される可能性が期待されるところです。

◆“にわか上値期待”は引き続き懸念だが…!?

昨日も記した“にわか上値期待”は引き続き懸念されますが、“一気に上値を試す”といった勢いが見られていない以上、現時点では「“流れを短命に終わらす”との懸念より、“目先の流れを速める”への期待が上回る」と考えたいところです。
“足の速い期待感”である可能性は頭の片隅に残しておく必要がありますが、引き続き“戻り売りではなく、押し目買い”で対処したいところです。

◆ドル円 抵抗・支持ライン

上値5:113.765(5/16高値、ピボットハイブレイクアウト)
上値4:113.112(5/17高値、5/11~6/14の76.4%戻し、ピボット2ndレジスタンス)
上値3:113.000(大台)
上値2:112.722(ピボット1stレジスタンス)
上値1:112.463(6/27高値)
前営業日終値:112.353
下値1:112.067(6/27高値後の押し目)
下値2:111.964(6/27安値後の50%押し、大台)
下値3:111.885(6/22~6/27の38.2%押し、6/27安値後の61.8%押し)
下値4:111.660(日足・一目均衡表先行スパン下限、6/22~6/27の50%押し、20週移動平均線、ピボット1stサポート)
下値5:111.528(6/22~6/27の61.8%押し、日足・一目均衡表転換線)

※ユーロ円やユーロドルなど、他の通貨ペアの抵抗・支持ラインは〔マーケット・チェック15分Webセミナー〕にて公開。

11:51 ドル円 抵抗・支持ライン追加
武市佳史
株式会社マネーパートナーズ チーフアナリスト
配信元: 達人の予想