下値試し一辺倒の展開に疑問符も、“ナイフを拾うのは床に落ちたのを確認してから”でも遅くはない…?

著者:武市佳史
投稿:2017/05/30 11:09

◆米・英・中の休場で昨日の取引は盛り上がらず

※ご注意:予想期間は5月31日と表示されていますが、本日(5月30日)の東京・欧州・NY市場の値動きを想定した記述となります。


米(メモリアルデー)・英(スプリングバンクホリデー)、さらに中国(端午節)も休場となった昨日は取引が盛り上がることはありませんでした。
昨日記した“111.20-00円のドル買いオーダー”“111.60-80円のドル売りオーダー”をいずれも脅かすことはなく、そのまま静かに昨日の取引を終えました。

◆ただ本日からは一転して活発に揺れ動く…?

ただ本日からは一転、活発に揺れ動く展開が期待されるところです。
本日のPCEコアデフレータを手始めに、今週は主だった米経済指標が目白押しとなるため、その結果に一喜一憂する展開が想定されるからです。
一方で外遊から帰ってきたことで、トランプ大統領のロシア関与疑惑が再燃する懸念が残っています。
このため思惑は一方通行的にはなりづらく、ただし昨日とは異なって大きく揺れ動く可能性が指摘されるところです。

◆欧州発のリスク回避材料でまずは下値試しが先行しているが…?

オーダー状況を見ると、昨日同様“111.20-00円”にドル買いオーダーが控えており、一方で上方向はちょっと引き下がった“111.50-80円”にドル売りオーダーが積み上がっています。
このいずれを明確に突破できるかがポイントとなりますが、早朝の市場では、ドラギECB総裁が金融緩和策継続は必要との見方を示したことやメイ英首相によるブレグジット交渉からの離脱示唆発言、さらにイタリアの総選挙前倒し実施観測やギリシャの債務問題再燃といった材料でユーロをはじめとする欧州系通貨に売りが先行。これに伴うクロス円の下げに引きずられる形で東京市場のドル円も上記した“111.20-00円”のラインを下回り、110円台後半までの下落を見せています。

110.80円台が直近のレンジ下限にあたること、200週移動平均線(本日は110.702)や4/17~5/11の61.8%押し水準(110.513)がサポートラインとして控えていること、また繰り返しになりますが思惑が一方通行的にはなりづらいマーケット環境であることを考えれば、下値試し一辺倒の展開にも疑問符がつきます。ただ「“ナイフ”を拾うのは床に落ちたのを確認してから」でも遅くはない…? まずはこのあたりを見極めていきたいところです。

◆ドル円 抵抗・支持ライン

上値5:111.957(5/25高値、大台)
上値4:111.838(5/26高値、日足・一目均衡表先行スパン上限)
上値3:111.733(ピボットハイブレイクアウト)
上値2:111.639(5/24~5/26の61.8%戻し、ピボット2ndレジスタンス)
上値1:111.458(5/29高値、5/24~5/26の50%戻し、ピボット1stレジスタンス)
前営業日終値:111.253
下値1:111.149(5/29安値、日足・一目均衡表転換線、ピボット1stサポート)
下値2:111.000(大台、5/18~5/24の61.8%押し水準、ピボット2ndサポート)
下値3:110.859(5/23安値、5/26安値、ピボットローブレイクアウト)
下値4:110.702(200週移動平均線)
下値5:110.513(4/17~5/11の61.8%押し水準)

※ユーロ円やユーロドルなど、他の通貨ペアの抵抗・支持ラインは〔マーケット・チェック15分Webセミナー〕にて公開。

11:21 ドル円 抵抗・支持ライン追加
武市佳史
株式会社マネーパートナーズ チーフアナリスト
配信元: 達人の予想