ドル円は目先の時間足から上値の重たさが目立つ&今後相場を動かす4つの要因

著者:平野朋之
投稿:2017/05/29 11:25

レンジ形成も下方には注意


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先週までのレビュー
先週のドル円は、北朝鮮による弾道ミサイル発射や英国での爆破テロ事件をきっかけに、110円ミドルまで下げる場面がありました。しかし、その後は、6月の追加利上げ観測の高まりを受けて、112円前半まで上昇する場面もみられました。
そんな中、注目されていたFOMC議事録でインフレ率鈍が明記されたことや政治リスクとしてロシアゲートへの警戒感があり、上値は限定される展開となっています。


■今週のポイント

■【政治リスクが本格化する6月相場】
これまでも政治リスクが選挙を含め各国でありました。しかし、今回の政治リスクはトランプ大統領がその引き金となっている「ロシアゲート」問題です。
既に話題の中心になっている今月30日以降、コミー前米連邦捜査局(FBI)長官による公聴会での証言への警戒感が日増しに高まっています。更に、大統領の娘婿のクシュナー大統領上級顧問がFBIの捜査対象に入っているのも気がかりです。

この結果次第では、トランプノミクス崩壊とこれまで先行していた株式相場が総崩れになる可能性もあり、更にリスク回避の展開が再び台頭する恐れもあります。
この悪い流れを引き継ぐように、最近の米景気指標もブレが生じ始めています。

特に今週30日のPCEデフレーターや2日の雇用統計には注意が必要です。



■また、【来月8日に行われる英国議会選挙】が注目されている・・・

メイ首相は与党保守党の議席積み増しを狙って、解散総選挙を決断したものの、最新の世論調査では、与党保守党は野党労働党に対するポイントが縮小したことで、EU離脱交渉の先行き不透明感が強まっていることも気がかりです。この辺りからもリスクオフに走りやすい状況です。

・6月8日…英国議会選挙
・6月11日・18日…フランス総選挙


■【金融政策】にも注目です。
大注目はもちろんFOMCでの追加利上げやその後のコメントになります。

また、以下の各中銀のコメントには警戒したいです。

・6月8日…ECB理事会
・6月15日…BOE会合
・6月15-16日…日銀金融政策決定会合

特にECBドラギ総裁が金融緩和を堅持する一方、内部からはQE縮小を推進する声も強まっているのも警戒したいです。


■【気になるドル円チャートは…】

先週のドル円チャートは、やはり112円15銭が抵抗として感じています。
日足上での今年のレジスタンスラインを突破したものの、その後の買いが続いていません。

そんな中、ジリジリ下値抵抗が切り上がっているのが、200日移動平均線です。

ちなみに、26日現在で110.04円となっています。次の110円割れがあれば、一旦大きな調整も視野に入れる事も必要です。

その決め手になりそうなのが、やはり「ドルインデックス」の動きです。

日足をみれば、2017年以降、きれいな下降チャネルを描いています。直近安値22日の96.70を割り込むようであれば、昨年の大統領選挙時の安値95.91を試すことになりそうなので、警戒はしたいです。



■最後に・・・

既に相場は6月の追加利上げはほぼ織り込み済みです。

それ故に、この先重要となるのは、政治リスクや選挙リスク、そして地政学リスクの突発的なサプライズでブレイク相場が再来することです。もちろんサプライズが起きることで、きっかけになるものの、不透明なことが潜在的にあるだけに相場はリスクオンになりづらい展開かとみています。
平野朋之
株式会社トレードタイム代表取締役
配信元: 達人の予想