北朝鮮核実験示唆で修正も。。

著者:菊川弘之
投稿:2017/05/10 09:41

半値戻し達成

 ドル円は、米利上げ観測を織り込む格好で114円台回復。2016年12月高値~2017年4月安値までの下げ幅に対する半値戻しを達成。一方、ドルと逆相関のNY金は、2016年12月安値~2017年4月高値までの上昇に対する半値押しまで下押された。

 ただし、東京時間の早朝に、北朝鮮の駐英大使から6回目の核実験を進める方針との報が伝わると、ドル売り、NY金買いの動きとなっている。昨年末からの値動きの半値戻し・半値押しを、それぞれ達成した事もあり、テクニカル的には、利食いが入りやすかった。

過去の北朝鮮の核実験の実施された時間は、以下の通り。

1回目(2006年10月):10時35分。
2回目(2009年5月):9時54分。
3回目(2013年2月):11時57分。
4回目(2016年1月):10時30分。
5回目(2016年9月9日):9時30分。

午前中の実施が多い事から、午前中はドル売り、金買いの動きが続きそうだが、実際の核実験実施されない限り、ドルの下値、金の上値は、それぞれ限定的となるか?
韓国聯合ニュースが報じたところによると、北朝鮮外務省で対米交渉や核問題を担当する崔善姫北米局長と米国の元政府高官らは8日、ノルウェーのオスロで非公式接触を始めた模様で、米国-北朝鮮、中国-北朝鮮が、それぞれ交渉に入っている間は、口先の牽制はあっても、核実験を実施する可能性は低いと見る。
 本日に関しては午後に入ると、ドル売り・金買いの動きに落ち着きが出てくるかもしれない。
ただし、今月に入り、ロス米商務長官から、対日赤字について「米国はこれ以上耐えられない」との声明が出ている中、ドルの更なる高値、NY金の更なる安値の余地は、それぞれ小さくなってくる感触。

地政学リスクに大きな変化がなければ、11日から始まるG7財務省・中銀総裁会議に市場の関心は移行する。
菊川弘之
日産証券調査部 主席アナリスト
配信元: 達人の予想