■今週のドル円見通し&NYダウは50日線に注目

著者:平野朋之
投稿:2017/04/10 11:33

■地政学リスク&IMMはドルロングが溜まっている

--------------------------------------------------

〜先週の振り返り〜

先週はドルの方向性がこの先も不透明であることが確信できた一週間でした。
というのも、6日のADP雇用統計で予想以上に雇用者が増加したことで、ドルが買われる場面があったものの、シリアへの空爆でリスク回避の円買いから節目の110円前半まで下落、その後、雇用統計で2007年5月以来9年10ヶ月ぶりの低水準になったことで、追加利上げ継続期待から再び、111円台に突入しました。



〜引き続き「110円」は意識されやすい〜

■勿論、この110円には大きな節目であることも意識されやすく、テクニカル的にも、このトランプラリーで上昇トレンドに対する「半値押し(50%調整)」でもあるだけに、買い手にとってはギリギリの値位置になっていることは間違いなくありそうです。

また、IMMの日本円に対する投機筋のポジションも減少はしているもののドルロングが溜まっているだけに、その反動には警戒したいです。


■今週は、先週に引き続き地政学リスクに警戒したいです。
米中首脳会談が行われている最中で、シリアにミサイルを放ったことは、ある意味さすがトランプ大統領といった感じにみえます。ロシア・北朝鮮に対する挑発行為にも見えるだけに、今後の相場材料としては新たに一枚のカードが追加されたようにみえます。

トランプ政権による税制改革、インフラ、医療関連の政策進展が今一つで、更に金融政策においても、バランスシート縮小、つまりテーパリングを意識した展開から追加利上げが視野に入り、ドル高傾向に向かう可能性が高く、トランプ大統領が思い描く「ドル安政策」には陰りが出始めたことは確かです。

そんな状況を全てリセットするような今回のミサイル発射には何か意図もあった可能性もあり、ドル安誘導のためのミサイル攻撃と受取る見方もでてきています。


■7日に閉幕した米中首脳会談の最大ポイントともいえる米中貿易は「100日計画」の策定で一旦は、貿易戦争の勃発は免れたものの、対立の火種は未だのこっているのは確かです。しかし、わずか100日で具体策や成果という意味合いでは期待薄であり、米中の思惑は日増しに強くなることからも、いずれ為替に対して何らかのアクションを起こす可能性があるだけに、リスク選好は抑制されやすいとみています。



■最後に、ドル円のポイントです。

過去10日間で110円割れを試す動きが複数回あり、大きい抵抗を作っているのがチャート上ではみえます。
しかし、週足ベースの平均足(改良版)の実体部の「下」で推移している現状では、目先は買いやすいものの、中期は未だ戻り売り優勢とみています。

また、これまで移動平均50日線が一つのポイントになっていましたが、今回も上値抵抗として意識される水準まで下落しています。

・上値の目処…移動平均50日線(112.75円)

・下値の目処…移動平均200日線(118.59円)


ドル円を動かす材料としては、

・地政学リスクの動向
・トランプ政権が為替報告書を公表(14日)
・3月小売売上高(14日)


伸び悩むNYダウの動きにも注意したいです。
こちらも移動平均50日線(7日現在:20,604ドル)が下値抵抗として作用しているので、株価の動向次第では大きなトレンドが発生することもあるので、併せてみておきたいです。
平野朋之
株式会社トレードタイム代表取締役
配信元: 達人の予想