“下げ止まった”とはいえないが、“深押し”は想定しづらい…!?

著者:武市佳史
投稿:2017/03/16 11:18

◆ドル全面安 - 113円台前半へ急反落

※ご注意:予想期間は3月17日と表示されていますが、本日(3月16日)の東京・欧州・NY市場の値動きを想定した記述となります。


FOMCは“0.25%(25bp)の利上げ”を行い、注目のドットチャートも“年3回”と変わりませんでした。
個人的に注目していた“年1回or2回部分の引き上げ”は行われたものの、期待していた“コンセンサスの修正”が囃されることはありませんでした。
このため想定していた“ファーストアクションはドル売り”で留まらず、米10年債利回りの急低下につれて“ドル全面安”の様相を示していきました。
『与党(自由民主党)が第1党を死守』と報じた「オランダ総選挙(出口調査)」を背景にして“ユーロ買い戻し”が進行したことも、ユーロドルを通じて“ドル売り”を後押しした印象があります。
ドル円はレンジ下限(114.50-40円)を明確に割り込み、113円前半へと突っ込みました。

◆テクニカルは芳しくなく、さらなる懸念も…?

想定に反して“日足・一目均衡表の雲下限(本日は113.909円)”を下に抜き返し、“50日移動平均線(同113.810円)”“20日移動平均線(同113.679円)”も下回る長大陰線は、テクニカル的に芳しい形状とはいえません。
“100日移動平均線(同112.966円)”を割り込むようなことがあると、“2/28安値(111.699円)”まで主だったサポートラインが見当たらないとあっては、なおさらです。

◆ただしマーケットは“次の材料待ち” - 現状での“深押し”は期待薄…!?

それでも“米利上げペース加速”を囃す前の水準(113円台)にはすでに到達しており、すでに先走り気味に織り込んだドル買いポジションの調整は一服と見ることが可能です。
そうなると「米債務上限引き上げ問題」「米予算教書」「日銀金融政策決定会合」等にマーケットの目が移る可能性は高く、“次の材料待ち”ということになります。
現時点での“さらなる下値追い観測”は急速に減退すると考えるのが自然です。

「米債務上限引き上げ問題」は“実際に引き上げ合意”がなされるまで続く類の問題ですが、上・下両院を共和党が掌握している以上“すぐに債務不履行懸念が高まる”わけではありません。
「米予算教書」は“内容次第”の面はありますが、事前の期待感はそれほどでもありません。
“失望が台頭する可能性は低い”と考えることは、十分に可能です。
「日銀金融政策決定会合」は“現状維持がほぼ確実視”されていますので、“緩和縮小(テーパリング)が示される可能性は低い”とも見られます。
そうなると“ドル売り”を後押しした「オランダ総選挙」も、今度は“リスク選好の円売り”を後押ししてもおかしくないということになってきます。

まだ“下げ止まった”とはいえる状況ではありませんが、それでも“深押し”は想定しづらい…。
あくまでも目先は“自律反発狙い”の域ということになりますが、引き続き“戻り売りではなく、押し目買い”で臨みたいところです。

◆ドル円 抵抗・支持ライン

上値5:114.333(3/10~3/15の50%戻し、日足・一目均衡表転換線)
上値4:114.059(3/10~3/15の38.2%戻し、100週移動平均線、大台)
上値3:113.909(日足・一目均衡表先行スパン下限、50日移動平均線)
上値2:113.681(20日移動平均線)
上値1:113.595(日足・一目均衡表基準線)
前営業日終値:113.429
下値1:113.174(3/15安値)
下値2:112.996(100日移動平均線、大台)
下値3:112.728(3/1安値、20月移動平均線、ピボット1stサポート)
下値4:112.370(月足・一目均衡表基準線)
下値5:112.122(ピボット2ndサポート)

※ユーロ円やユーロドルなど、他の通貨ペアの抵抗・支持ラインは〔マーケット・チェック15分Webセミナー〕にて公開。

11:40 ドル円 抵抗・支持ライン追加
武市佳史
株式会社マネーパートナーズ チーフアナリスト
配信元: 達人の予想