“保護主義=ドル安”ではない…!?

著者:武市佳史
投稿:2017/01/24 10:58

◆リスク回避の連想にて、ドル円113円割れ…

※ご注意:予想期間は1月25日と表示されていますが、本日(1月24日)の東京・欧州・NY市場の値動きを想定した記述となります。


昨日も“保護主義”を背景にして“ドル安”が囃されました。

トランプ大統領は矢継ぎ早に「TPP(環太平洋経済連携協定)離脱」「NAFTA(北米自由貿易協定)再交渉」の大統領令に署名し、再び“保護主義”を前面に押し出しました。
これをリスク回避と捉えたマーケットは、株安・金利安(債券は上昇)が進行する中でドル円を113円割れへと追いやりました。
「過度のドル高は短期的にマイナス」のとムニューチン次期財務長官発言も、こうした動きを後押した印象があります。

◆ドル高要因は“全く無視”の状況

一方でトランプ大統領は「雇用・生産・投資の増加」を謳い、「米国内に企業(産業)を回帰」させようとしていますが、これらは“ドル買いを促す要因”といえます。
昨日も「日本の自動車貿易は公平ではない」と批判し、それが“保護主義⇒ドル安”と反応したわけですが、それに続いたワードは“ドル高けん制(ドル安要因)”ではなく“国境税(ドル高要因)”でした。
しかしそのことが取り上げられることはなく、“全く無視”されているのが実状です。

◆“短期的な下値余地”は意識されるものの、それも“オーバーシュート”…!?

昨日も記したように、トランプラリー再開の有無は“1月末の所信表明演説(一般教書演説に該当)ならびに2月初めの予算教書演説に持ち越し”という格好になっています。
つまりどちらかを確認するまでは“不安定な揺れ動き”を演じる可能性が否めず、“短期的には下値余地”が意識される点は否めないところです。
しかし“方向感が定まらない(トレンドを伴う動きは限定的)”と見られる中、“保護主義=ドル安”ばかりを囃して下押すのは、やはり“オーバーシュート”といわざるを得ません。

ここまで来ると“11/9~12/15の38.2%押し(111.986円)割れ”が意識されるのはやむを得ませんが、現状での下押しは引き続き“絶好の押し目”と考えたいところです。

◆ドル円 抵抗・支持ライン

上値5:113.812(1/19~1/23の38.2%戻し、ピボット1stレジスタンス)
上値4:113.721(1/23の61.8%戻し、20月移動平均線)
上値3:113.493(1/23の50%戻し)
上値2:113.265(1/23の38.2%戻し)
上値1:113.000(大台)
前営業日終値:112.726
下値1:112.566(1/18安値)
下値2:112.085(週足・一目均衡表先行スパン上限、ピボット1stサポート)
下値3:111.986(11/9~12/15の38.2%押し、11/30安値、大台)
下値4:111.628(11/29安値)
下値5:111.534(ピボット2ndサポート)

※ユーロ円やユーロドルなど、他の通貨ペアの抵抗・支持ラインは〔マーケット・チェック15分Webセミナー〕にて公開。

11:24 ドル円 抵抗・支持ライン追加
武市佳史
株式会社マネーパートナーズ チーフアナリスト
配信元: 達人の予想