買い優勢で1万8500円台固めに、7~9月期のGDP改定値を注視

著者:冨田康夫
投稿:2016/12/07 21:46

明日の東京株式市場見通し

 8日の東京株式市場では、外国為替市場で1ドル=114円台での安定した円相場の推移となった場合、心理的なフシ目として意識されている日経平均株価1万8500円台固めの展開となりそうだ。

 市場関係者からは「買い手掛かり材料難だったとろに、“ソフトバンクグループ<9984>の孫正義社長が、トランプ次期米大統領とニューヨークで会談し、米国の企業に500億ドルを投資することで合意した”と伝えられ、これをきっかけに投資家心理が改善した。ソフトバンクグループの株価は終値で6.2%上昇し、1銘柄で日経平均株価を約50円押し上げた」との見方が出ていた。

 7日の東京株式市場は終始買い優勢の展開で、日経平均株価は途中一時伸び悩む場面があったものの、後場終盤に買い直され、ほぼきょうの高値圏で着地する強い地合いとなった。日経平均株価終値は、前日比136円15銭高の1万8496円69銭と続伸した。

7日の動意株

 チエル<3933>=後場急伸。
この日正午ごろ、バイエル薬品(大阪市北区)が主催する「バイエル ライフ イノベーション アワード2016」で、「独創特別賞」を受賞したと発表しており、これを好感した買いが入ったようだ。「バイエル ライフ イノベーション アワード」は、過去1年間に新規上場した企業の中から、事業分野を問わず、革新的な技術・アイデアで人々のよりよい暮らしに貢献し、新しい価値を創造した企業を称える表彰制度。今回、同社の「独創特別賞」受賞は、教育ICT特化企業として、現場の教員から意見を直接聞き、そのニーズを反映したシステムとソフトウエアの両方を提供することで他社と差別化を図っている点が評価されたという。

 アライドアーキテクツ<6081>=急反発。
この日、メーカー企業の越境ECを支援する「CoolChangeプラットフォーム」を運営するアイディール(東京都品川区)と資本・業務提携を行ったと発表しており、これを好材料視した買いが入っている。アイディールが運営する「CoolChangeプラットフォーム」は、中国への販路を持たないメーカー企業でも、短期間で越境ECサイトを構築・展開できるプラットフォームサービス。

 NSユナイテッド海運<9110>=大幅高で3連騰。
ここ大口の買いが観測されるなか、一時16円高の227円まで買われ、大発会(1月4日)につけた215円を払拭し約11カ月ぶりに年初来高値を更新した。鉄鉱石や石炭、穀物などを運ぶばら積み船市況は回復歩調にあり、「中型船のチャーター料など、数年来の高値水準まで上昇している」(市場関係者)という。ばら積み船の総合的な値動きを表すバルチック海運指数は、足もとこそ調整局面にあるものの1200近くまで上昇している。

 トプコン<7732>=大幅続伸。
三菱UFJモルガン・スタンレー証券が6日付で、レーティングを「アンダーウエート」から「ニュートラル」とし、目標株価を900円から1600円へ引き上げたことが好材料視されている。同証券の業績予想前提為替レートを1ドル=100円から110円へ、1ユーロ=100円から115円へ変更し、それに伴い17年3月期以降のポジショニングと18年3期以降のアイケアの見通しを引き上げたことが要因としている。また17年3月期営業利益予想を90億円から98億円へ、18年3月期を同106億円から118億円へ引き上げている。

 チェンジ<3962>=急伸。
同社はこの日、伊藤忠商事<8001>から、同社が取り扱うBlackBerry社のモバイルセキュリティーソフトウエア製品(Good Secure Mobility Suite)のライセンスについて、36カ月間の長期で受注したと発表したことが好感されている。伊藤忠商事は2年前から、前身の製品であるGood for Enterpriseをモバイルコミュニケーションツールとして広く利用していたが、さらなるモバイル活用のために、Good for Enterpriseの上位製品となるGood Secure Mobility Suiteを全社的に採用したとしている。

 プロスペクト<3528>=ストップ高。
同社は6日の取引終了後、従来1円を予定していた17年3月期の期末配当について、2円増額して3円にすると発表しており、これを好感した買いが殺到している。米ハワイ州ホノルル市における販売用コンドミニアムの開発事業の予約・契約率が90%を超えて順調に推移していることが要因としている。
冨田康夫
株経ONLINE:編集長
配信元: 達人の予想