シカゴの日本円の投機ポジションは、売り越しも、窓埋めは完了

著者:平野朋之
投稿:2016/12/05 11:19

NYクローズで、113円30銭レベルを維持できるかがポイント


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■先週末は、注目された雇用統計の結果、失業率が9年ぶりの低水準になったことをはじめ、非農業者部門雇用者数に関しては予想よりは、やや下回ったものの堅調な数値となっています。
しかし、堅調な結果にも関わらず、平均時給が前月比・前年比ともに下回ったことは、気掛かり材料です・・・。

雇用統計後は、手掛かりを欠き、週末の利益確定売りやイタリアでの国民投票を控えて売りに押される展開となりました。日本の株式市場もドル円とほぼ歩調をあわせるように売り優勢の展開となりました。


■本日は、イタリアの国民投票を受け、ドル円を含むクロス円は「下窓」をあけてスタートしましたが、すでにその「窓埋め」は完了しています。

今週は、オーストリアの大統領選をはじめ、ECB理事会やドラギ総裁会見とユーロ圏が中心材料となります。
これまで、トランプラリーが市場を支配してきましたが、加熱したハイブリッシュな相場に水を差す展開も予想しておきたいところです。


■特に、ドル円に関しては、シカゴの日本円の投機ポジションを見る限り、ピーク時でネット7万5千枚強の円の買い越しでした。
しかし、先週末の発表では完全に買い越しを解消し、269枚の円の売り越しに変化していることで、ここまでは過度な円買いに対する巻き戻しと解釈しておきたいです。

また、市場は「トランプノミクス」以外の材料を模索しています。
やはり、就任後どのような政策がなされ、「期待と事実」とのかい離がどの程度あるのかが焦点になります。
特に、来週のFOMCでは利上げが確実視されていますが、市場では既に来年以降の利上げスピードが焦点になっています。


■少なくても、このドル高と原油高においては、米国民にとっては劣勢な状況であり、個人消費にもブレーキがかかりやすいとみています。また、先週末の雇用統計における平均賃金を見る限りでは、せいぜい「年2回」が限度とみています。


■本日の戦略は、依然として、日足の平均足(改良版)が陽線継続となっていることで、
押し目を探る展開になっています。

しかし、NYクローズで、日足の平均足(改良版)を割り込むと、ポジション調整の可能性があるため、注意は必要です(113.35)。
平野朋之
株式会社トレードタイム代表取締役
配信元: 達人の予想