好地合い引き継ぎ堅調、配当権利落ち分即日埋めに関心

著者:冨田康夫
投稿:2016/09/27 18:28

明日の株式相場見通し

 あす(28日)の東京株式市場は、きょう後場の堅調な地合いを引き継いで買い優勢の展開となり、日経平均株価は9月期末の配当権利落ち分を即日埋めて続伸となる可能性もある。

 米大統領候補者の第1回テレビ討論の結果「ヒラリー・クリントン氏有利」との受け止めが広がり、現地27日時間外の米株価指数先物は、前日比で堅調な推移となった。これを映して、東京市場では進行していた円高・ドル安に歯止めが掛かり、日経平均株価は後場から前日比プラス圏に浮上し高値引けとなった。

 市場関係者からは「日経平均株価が前場に一時、250円を超える下落幅となったことで、後場からは日銀による上場投資信託(ETF)買いの思惑が広がった。さらに、9月期末の配当権利取りの動きも株価を押し上げた。あすの配当権利落ち分は115円程度とされ、即日埋めの成否に関心が集まっている」との見方が出ていた。

 27日の東京株式市場は、前日の欧米株安を受けて売り優勢で始まったものの、その後は下落幅を縮小。後場から日経平均株価が前日比プラス圏に浮上し、引けにかけジリ高歩調となった。終値は前日比139円37銭高の1万6683円93銭と3日ぶりに反発した。

 日程面では、東京都議会が開会、8月の乗用車8社の生産・輸出実績に注目。海外では、イエレンFRB議長が米下院で証言、米8月の耐久財受注が焦点となる。

<動意株・27日>=エキサイト、リプロセル、愛知時計電機など

 エキサイト<3754.T>=後場一時ストップ高。同社はきょう、シェアリング・エコノミーのマッチングサービス「ファミリーサポーター」に民泊清掃代行カテゴリーを追加したと発表。今後の需要拡大などが期待されているようだ。また、この日は「エキサイト翻訳」で、英語と中国語の日常会話表現や口語表現、絵文字、略語、スラングに対応したカジュアル語彙のプラットフォーム「ソーシャルフレーズ」を開始したことも発表している。

 リプロセル<4978>=後場一段高。
バイオ関連株はノーベル賞シーズンで市場の視線が向かいやすく、きょうも朝安から大きく切り返す銘柄が目立つ。同社も朝方は小安い場面があったが、その後は一貫して上値に買い注文が入り漸次水準を切り上げる展開。
同社はiPS細胞の研究試薬などを手掛ける創薬ベンチャーで、欧州や米国でM&Aを推進するなど海外で展開を加速させている。尿から腫瘍化リスクの低いiPS細胞を作成し研究機関に提供する新規事業も軌道に乗り、17年3月期以降、赤字体質解消には時間を要するもののトップラインの拡大基調は続く見込み。

 愛知時計電機<7723>=後場終盤に急上昇。
同社は午後2時ごろ、第2四半期累計(4~9月)連結業績見通しについて、売上高を205億2000万円から210億8000万円(前年同期比8.7%増)へ、営業利益を1億5000万円から5億9000万円(同4.7倍)へ上方修正したことが好感されている。家庭用プロパンガスメーターの需要が上昇に転じ計画を上回ったことに加えて、水道関連機器の輸出が回復傾向となったことなどが要因としている。

 さが美<8201>=連続ストップ高。
さが美の親会社であるユニー・ファミリーマートホールディングス<8028>に対し、独立系投資ファンドのニューホライズンキャピタル(東京都港区)が買収提案をしたことが伝わり、前日に投機資金が集結する格好となった(同日にユニー・ファミリーマートHDは、ニューホライズンキャピタルから買収提案があったことは事実とするコメントを発表している)。
さが美は既に投資ファンドのアスパラントグループとの間で買収合意がなされていたが、今回報じられたアスパラントの買収提示金額1株56円を上回る対抗的な提案が示されているとの思惑が強い。市場では「玉争奪戦に発展するとの見方が物色人気の発端となっているが、買収提示金額を引き上げたにせよ、今の株価よりはるかに低いことは明白であり、短期値幅取りを狙ったマネーゲームの様相に近い」(準大手証券ストラテジスト)と指摘する声もあった。

 太洋工業<6663>=ストップ高。
きょう付の日本経済新聞が「東レとNTTは生体情報を取得できる繊維を使った『スマート衣料』で医療分野に参入する」と報じたことが刺激となり、スマート衣料関連として太洋工業への関心が高まっているもよう。同社は今年2月26日に、一般に市販されている化学繊維製テキスタイル(布)上に金属回路を形成する技術を開発したと発表。スマート衣料での採用を想定しているとした。

 ネクストジェン<3842>=大幅高。
同社はきょう、ネットワーク対応型通話録音システム「LA-5000」が大手損害保険会社に採用されたことを明らかにした。LA-5000は、通話録音から録音データの保存・検索・再生までを実行でき、1つのシステムで24ch~最大9216chまでの録音が可能な通話録音システム。金融関連企業や公共機関などで多く採用されている。

※未確認情報が含まれる場合があります。株式の売買は自己責任に基づいて、ご自身でご判断ください。
冨田康夫
株経ONLINE:編集長
配信元: 達人の予想