再生医療市場の発展に貢献「移植前免疫反応検査法」の開発スタート=GLA小池麻千子

投稿:2016/07/26 20:26

再生医療市場の発展に貢献「移植前免疫反応検査法」の開発スタート

今日はシスメックス、ヘリオス、大日本住友製薬の3社で「移植前免疫反応検査法」の開発をするという発表がありましたので、再生医療市場について触れたいと思います。

誕生から間もない再生医療市場ですが、薬事法改正における「早期承認制度」で企業の取り組み方が一気に加速しているようです(いわゆる飛び級みたいなもんで、製品の有効性が「推定」されたら、期限付きで承認してくれるので、承認まで普通の半分くらいの時間で済むのです。医薬品は発売時期が早いほどシェアを取れるのです)。

経済産業省は国内再生医療市場について、2012年の90億円から、2020年には950億円、その10年後には1兆円となり、2050年には2.5兆円に拡大すると予測しています。

ちなみに今のところ、製造販売承認製品が2 製品、うち保険償還の対象とされたものは自家培養表皮(重症熱傷)の1 製品に限られます。

がん免疫治療薬の潜在市場は5700億円と最も巨大ですが、夢の若返りや夢の発毛といった美容分野にも広がることとなります。さらにそれを支える物流や検査機器などの市場もこの分野で新な市場が成長していく事になります。

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★前置きが長くなってしまいましたが、今日、「シスメックス(6869)ヘリオス(4593)、大日本住友製薬(4506)の3社で他家iPS細胞由来 網膜色素上皮細胞(RPE細胞)の移植前免疫反応検査法に関する共同研究開発を開始」と伝えられました。

再生医療市場の発展に貢献する内容なので、注目したいと思います。

この開発は、検体検査で国内トップのシスメックスの解析技術を使って、ヘリオスと大日本住友製薬が共同開発を進める「他家iPS細胞から作った網膜色素上皮細胞」の「移植前免疫反応検査検査」を開発するという内容です。

他家移植は他人のiPS細胞を移植するため、移植後に自分の免疫機能によって拒絶反応が出ることが心配です。移植前に「移植しても大丈夫なのか」「移植前に免疫反応をどれくらい抑えたらいいのか」を確かめなければいけません。今回、3社が共同開発を発表した「移植前免疫反応検査」というのは、この部分になるかと思います。

この開発によって、拒絶反応を起こす免疫の働きを抑える薬を、「どれだけ」「何回」投与したらいいか、といったことがわかるので、その結果が他家細胞移植後の免疫抑制療法に活かされるといいます。

「移植前免疫反応検査法」の開発に成功すれば、他家細胞移植による再生医療の進展にかなり貢献することになるでしょう。

・・・・まだ続きがありますが、宜しければ続きを下記よりご覧ください。
小池麻千子
グローバルリンクアドバイザーズ 株式アナリスト
配信元: 達人の予想