「リスク回避の円買い VS 金利選好のドル買い」

著者:武市佳史
投稿:2016/06/01 11:19

◆英EU離脱(Brexit)懸念再燃 - ドル円反落

※ご注意:予想期間は6月2日と表示されていますが、本日(6月1日)の東京・欧州・NY市場の値動きを想定した記述となります。


注目の米経済指標はまちまち(米個人支出/PCEコア・デフレータはポジティブ、シカゴ購買部協会景気指数/消費者信頼感指数はネガティブ)でしたが、堅調推移は概ねキープされていました。
しかしながら“英EU離脱(Brexit)”を巡る懸念が再燃したことで、マーケットは冷水を浴びせられました。

英ガーディアン紙が報じた最新の世論調査(ICM)では、“離脱派が躍進”していることが明らかにされました。
それも過激傾向を見せる“ネット調査”のみならず、保守的な“電話調査”でも躍進していたことが明らかにされ、直近の“残留濃厚”との見方が一気に覆されました。
薄れていた警戒感が一気に噴き出したポンドが急落する中、リスク回避姿勢の台頭による円買いにてドル円は110円半ばへと押し戻されました。

◆一方、米利上げの織り込み度合いはまだ不十分

国民投票まで3週間余り(6/23)ということを考えると、“英EU離脱(Brexit)”を巡る思惑の感応度は今後はより高まると見られます。
昨日の流れ(離脱派躍進)が尾を引くと、もう一段の“リスク回避⇒円買い戻し”は覚悟せざるを得なくなってきます。

一方で米利上げに関する織り込み度合いは、7月まで広げても“まだ60%に届いていない”状況です。
このためもう一段の織り込み(巻き戻し)が入りやすい地合いと考えられ、本日の米ISM製造業景況指数&地区連銀経済報告〈ベージュブック〉の内容次第ではドル買いが加速する可能性が指摘されます。

◆「リスク回避の円買い VS 金利選好のドル買い」の構図だが、後者優勢…!?

日足・一目均衡表先行スパンの雲(本日も111.251円)を明確に突破出来るか?否か?の水準で反落した格好ですので、テクニカル的は分水嶺に差し掛かっていると考えられます。
ただ昨日も記したように「センチメント改善で出来た流れは“そう簡単には覆らない”」と考えられ、先週まで上値を押さえてきた110円半ばがサポートラインとして機能する可能性も残ります。

目先は「リスク回避の円買い VS 金利選好のドル買い」という構図でしょうが、現在のメインテーマはやはり“米早期利上げ観測”と考えます。
下値を確認しながらにはなりますが、買い下がりを意識したいところです。

◆ドル円 抵抗・支持ライン

上値5:111.711(1/29~5/3の38.2%戻し、ピボット2ndレジスタンス)
上値4:111.435(5/30高値)
上値3:111.326(5/31高値、日足・一目均衡表先行スパン上限)
上値2:111.194(ピボット1stレジスタンス)
上値1:111.000(大台、5/30~5/31の61.8%戻し)
前営業日終値:110.715
下値1:110.500(5/31安値)
下値2:110.379(5/30安値、5/26~5/30の50%押し、ピボット1stサポート)
下値3:110.272(日足・一目均衡表転換線)
下値4:110.193(5/26~5/30の61.8%押し)
下値5:110.000(大台、ピボット2ndサポート)

※ユーロ円やユーロドルなど、他の通貨ペアの抵抗・支持ラインは〔マーケット・チェック15分Webセミナー〕にて公開。

11:43 ドル円 抵抗・支持ライン追加
武市佳史
株式会社マネーパートナーズ チーフアナリスト
配信元: 達人の予想