円高進行警戒し軟調推移、外部要因依存で不透明感強い

著者:冨田康夫
投稿:2016/02/05 20:23

来週の東京株式市場見通し

 前週の東京株式市場は、外国為替市場での円相場や原油価格、米国や中国の景気動向など複数の外部要因の変動に大きく左右されることになりそうだ。不透明感の強まるなかで、来週の日経平均株価の予想レンジは1万6300~1万7200円とする。

 日銀が前週末“マイナス金利の導入”という新たな金融緩和策を断行。これを好感して日経平均株価は2日間で800円を超える急騰をみせた。ところが、2日からは一転してきょうまで4日続落で合計1000円を超える下落となり、円相場も一時1ドル=116円台半ばと、いずれもマイナス金利導入前の水準に回帰してしまった。

 市場関係者からは「この1週間で、円相場が1ドル=121円台から116円台へと5円分も円高に変動したことは、現在佳境を迎えている16年3月期第3四半期累計の決算内容を評価するうえでも大きな影響を与える。とくに、今後の株価を左右する17年3月期の主力輸出企業の業績見通しが極めて不透明となり、押し目買い意欲を低下させている」との見方が出ていた。

5日の動意株

 森永乳業<2264>=大幅高。
同社はきょう午後2時に、16年3月期第3四半期累計(15年4~12月)の連結決算を発表。営業利益は142億9100万円(前年同期比2.1倍)となり、通期計画127億円を超過した。売上高は4704億5500万円(同1.5%増)で着地。乳飲料が前年同期実績を下回った半面、牛乳類やヨーグルト、粉乳、アイスクリームなどが好調だった。なお、通期業績予想は従来計画を据え置いている。

 TBSホールディングス<9401>=3日ぶりに大幅反発。
同社は4日取引終了後に、16年3月期通期の連結業績予想修正を発表。経常利益を従来の192億円から207億円(前期比9.4%増)に引き上げたことが好感されているようだ。売上高3450億円(同0.8%減)と営業利益160億円(同1.7%増)は従来予想で据え置いているが、受取配当金の増加などが経常利益を押し上げる。

 ぷらっとホーム<6836>=ストップ高。
前日は、米アマゾンが提供するクラウドサービス「Amazon Web Services(AWS)」の「IoTデバイスを提供するAPNテクノロジーパートナー」に登録されたことを手掛かりに買われストップ高で引けたが、この日は米ファンドによる大量保有が判明したことが材料視されている。4日午後提出分の大量保有報告書で、米ファンドのダルトン・インベストメンツ・エルエルシーが、ぷらっとホーム株式7万6400株(発行済み株式数の5.62%)を保有していることが判明しており、これを受けて需給思惑が働いているようだ。

 ヤマハ<7951>=一時ストップ高。
4日の取引終了後、第3四半期決算を発表するとともに、16年3月期業績予想の増額修正を公表した。純利益は290億円から345億円(前期比38.4%増)に見直された。ピアノなどの楽器が中国や欧州向けなどに好調だ。同時に年間配当は従来予想の36円から44円へ増やすほか、200億円を上限とする自社株買いも実施する。この決算の内容に関して市場には「想定以上」との見方が浮上。自社株買いと増配は、目標とするROE水準や配当性向の達成に向けた動きと前向きに評価されている。

 古河電気工業<5801>=大幅続伸。
同社は4日取引終了後に発表した、16年3月期第3四半期累計の連結決算は売上高6448億6400万円(前年同期比2.0%増)、営業利益168億9200万円(同65.9%増)、最終利益61億2700万円(同2.2倍)と高変化を示した。光ファイバーが北米市場で売り上げを伸ばしているほか、利益面では合理化努力や円安メリットも寄与した。株価も25日移動平均線を一気に上抜け、上ヒゲながら一目均衡表の雲抜けも果たすなどトレンド転換を印象づける。

 ファミリーマート<8028>=急騰。
伊藤忠商事<8001>は4日、ファミリーマートとユニーグループ・ホールディングスが統合して発足する新会社の議決権割合の3分の1超を確保するため、ファミリーマート株640万株を8月末までの期間内に市場で買い付けると発表、これが株価を強く刺激する格好となった。
冨田康夫
株経ONLINE:編集長
配信元: 達人の予想