映画ずきのしんちゃんさんのブログ

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株安はとまるか

株安は止まるか

週末には、ブッシュ大統領とサルコジフランス大統領が、ブレトンウッズ体制にかわる世界的な経済体制をつくるための首脳会議の開催をよびかけた。どうやら戦後世界の経済体制を再編成する大きな転機になりそうだ。週末のNYが安く、経済指標も悪かったので、週明けの東京は苦しい始まりとなりそうだ。だが政治の側の対策もかなり腰が入ってきている。とはいえまだ具体策には乏しい。安心感につながるどうかは定かではない。

この欄も少し長期の視点で考えてみよう。昨日は長期のトレンド指標で、現在の水準を考えてみた。結論からいうと、一目均衡表、MACD、ボリンジャーバンド、RCI,そしてパラボリックという、長期的なトレンドを示す指標はいずれも下降トレンドを示している。下げ止まりの可能性をわずかに示しているのは、今のところせいぜい月足RCIが底をつけていることと、ローソク足の形ぐらい。値動きそのものからみる限り、まだ下値探りの局面であり、歴史的な安値7831円をきらない保証はない、といわねばならない。

したがってテクニカルからみると、底打ち反転を確認するまで様子見に徹するというのが得策、という他はない。だが、そうはいっても底は近いのではないかと考えられる兆候もある。逆にますます下落するのではないかとい不安材料もある。ここではこれを並べておくことにしよう。まずいくらなんでも底に近いのではないかと思われる兆候は、東証一部のPBRが一倍を割れているという事実である。東証一部のPBRは2003年3月に1.18をつけたが、先週末東証全銘柄で0.99で一倍を割り込み、225種で1.04である。いうまでもなくPBR=株価純資産倍率は、解散価値と等しいといわれており、PBRが一倍以下ということは、一部上場会社の資産がこれからどんどん目減りしてゆくことが想定されているといえよう。つまり極端に言えば、現時点で日本経済を店じまいして、すべての会社を解散したほうがましだ、ということになる。相当長期的な不況を市場が織り込んだともいえる。この水準をさらに切ってくるというのは、いわば日本経済の崩壊シナリオと考えられる。この可能性も確かに皆無とはいえない。純資産は前期の決算に基づいているわけだから、不況の進化につれてさらに純資産が下げてゆく可能性もないとはいいきれない。だが、PBRがこれからさらに数割下げるという確率は、あまり高くはないであろう。もし日本経済崩壊というシナリオを信じないのであれば、現在の水準は底に近いと考えるべきだろう。平均配当利回りも東証平均で2.54%。1975年以来の水準だといわれている。10年もの国債の利回りは1.4%であるから、配当利回りのほうが1%以上も高い。なかには5-7%に達するものもあるという状況だ。会社がつぶれないというのを前提にすれば、配当ねらいだけでも意味がありそうだ。

しかし他方、こうした材料を完全に打ち消すようなシナリオも一方にある。ドル暴落という可能性だ。まずアメリカの金融への公的資金の注入がこれでとまるという保障が全くない。元凶である住宅市場は下げ続けており、先物からみてさらに2年下げるという説もある。すると、住宅関係の不良債権は膨張する一方となり、注入すべき公的資金は、今の数倍も必要になるのではないか、ともいわれている。さらにこれに加えて、住宅を担保にして過大な消費を続けていたアメリカの過剰消費構造が崩壊して、個人消費が凍てつき、自動車はじめアメリカの実体経済が大不況に陥る可能性がある。すると税収はまずます落ち込み、財政は加速度的に悪化する。現在は、株安にもかかわらず、世界中からのドル資金の還流によってドルは比較的安定しているが、アメリカの財政赤字がコントロール不能となれば、アメリカ国債を買う外国人はいなくなり、アメリカへの資金流入がとまってドル暴落の悪夢が現実になるかもしれない。この可能性も皆無とはいえない。日本経済も輸出依存で脆弱であり、アメリカがこければ共倒れなので、ドル暴落が即円高騰となるかどうかは、疑問だが、アメリカ市場が崩壊すれば、いずれにせよ、日本の輸出産業は壊滅的打撃を受けるから、現在の日経平均の水準すら高値かもしれない。大恐慌時は、高値から90%以上株価が下げたという。それと同様な事態になれば、NYダウはさらに半値になる計算だ。そういう最悪の可能性も現時点では完全に排除はできない。こうした世界恐慌という事態になれば、いくら日本株のPBRが一倍といっても通用しまい。

というわけで、もし世界が大恐慌に突入しないのであれば、今の水準は、PBRからみて底に近いのではないか、と思われる。だがそれはあくまでもドルの崩落を伴う世界経済恐慌がなければ、という条件つきである。これが起こらない、という確信をマーケットがもてるようになれば、その時点で市場には底が入るのではなかろうか。
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