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タンスターフル

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何故、山に登ろうと思ったのか、理由はよく思い出せない。テレビか雑誌か何かで、秀麗な山岳風景を見て、自分の目で見てみたいと思ったのかもしれない。

山に登る前準備として、僕は山登りサークルに入ることにした。僕はそれまで山登りの経験はなく、一緒に山に登る仲間を見つけ、山に登るためにはどのような準備が必要なのかを学びたかったからだ。そのサークルは、僕を温かく迎えてくれた。メンバーの数は20名ほど、年齢は僕と同じかやや上の人が多かった。

メンバーは皆仲が良く僕もすぐ打ち解けることができ、僕らはよく集まって飲みにいったり、少し遠出をして小旅行をしたりした。仲間と一緒にいるのは楽しかったし、山登りという共通の話題があるので話も弾んだ。ただ、少し気がかりだったのは、山登りのための準備と言えるもの-つまりどのような装備が必要で、どのようなトレーニングが必要なのか、そういう話がほとんど出てこなかったことだ。サークルの古参のメンバーにそのことを聞くと、自分たちはプロの登山家では無いのだし、そういう本格的な準備は必要ないよ、楽しく登るのが一番だよ、とのことだった。たしかに僕らは素人なのだし楽しく登るのが大切だよな、僕は納得しその後もサークルのメンバーと楽しい時間を過ごした。

僕がそのサークルに入って3か月が過ぎた。季節は5月、いよいよ山に登ることになった。登頂先は、穂高連峰。一泊二日の行程で、なかなか本格的だ。朝方に上高地を出発し、最初の頃は平坦な道が続いて、景色を楽しみながら歩く余裕があった。出発して2時間を過ぎた頃から、少し疲れを感じ始めた。僕は普段から特に運動をするわけではないし、今回の初登山に向けて特にトレーニングをしてきたわけではないから、当然といえば当然だ。ただ、荷物もシャツの替えくらいで重くはなく、なんとかなるだろうとその時は思った。

午後になって勾配が急になってきて、道もかなり険しくなってきた。すこし足を踏み外せば滑落してしまいそうなところも通った。今夜宿をとる山荘まであと2時間くらいで着く、そう思って何とか他のメンバーに付いていったが、午後3時を過ぎた頃から急に霧が出てきて周りが見えなくなった。5メートル先が何とか見える程度だ。僕は不安になり他のメンバーに呼びかけた。しかし、誰も返事を返してこない。僕の歩くペースが遅く、いつの間にか置いていかれたのだろうか。こういう時はどうすれば良いのか、僕は全くわからなかった。気温も急に下がってきた。リュックの中には替えのシャツしか入っておらず、上から羽織るようなものは無かった。僕は寒さと焦りから、他のメンバーの名前を叫びながら霧の中を歩き回った。30分くらい歩いただろうか、視界の先に人影らしきものが見えた。僕はその人影らしいものへと足を踏み出した。だが、踏み出したと思った足は地面を捉えず、僕の手足は何か掴めないものを掴もうとするかの様に空を掻き、そして僕の身体は自由落下を始めた。

僕の記憶はそこで途切れる。


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唐突な小説もどきの文章、失礼しました。何となく普段と違う文体で文章を書いてみたかっただけ・・・というわけでもないのですが、まあはっきり書くとちょっとアレがソレだしってことで。


日記タイトルの「タンスターフル」と言うのは、ググってもらえばわかると思いますが、『月は無慈悲な夜の女王』という小説に出てくる言葉で、”There Ain't No Such Thing As A Free Lunch”の頭文字をつなげたもの(TANSTAAFL)です。無料の昼食なんて無い、って意味ですね。

投資の世界でもフリーランチは無い、ってよく言われますが、これが語源かどうかは不明です。

で、今日は投資の話に行くのではなくて、ちょっと違う方向に話を展開してみようかと思います。前述のタンスターフルという言葉を語源としたアルゴリズムに関する定理で、ノーフリーランチ定理というものがあります。

この定理が立証していることは、「あらゆる問題で性能の良い汎用最適化戦略は理論上不可能であり、ある戦略が他の戦略より性能がよいのは、現に解こうとしている特定の問題に対して特殊化(専門化)されている場合のみである」ということです(wikiより引用)。簡単に言えば、あらゆるケースで最良のパフォーマンスを上げられるような万能の方法は無く、パフォーマンスを上げたかったら範囲を絞ってそれに特化した方法を取れ、ってことだと思います。

この定理の考え方は、他のジャンルにも適用できるのではないかと思います。例えば、個人投資家のコミュニティサイトを運営する時の戦略を考えた場合、あらゆる投資スタイル・投資経験・投資技量の投資家をターゲットとした戦略というものは、ある狭い範囲の投資家層に特化した場合の戦略よりも、そのコミュニティサイトが生み出すクオリティというものは低くならざるを得ない、ということになるのではないでしょうか。
アルゴリズムの話だったら、パフォーマンスが低いね、で終わるかもしれませんが、コミュニティサイトの場合、クオリティの低さ⇒魅力の低下⇒利用者数の減少⇒クオリティの低下、というデフレスパイラル的なことになってしまう可能性があるので、戦略の取り方が難しそうだなと思います。

ちょっと流れが強引だったかな。

まあ、そんなわけで、個人投資家のコミュニティにどんな可能性があるのだろう?と思い、以下のようなコミュを作ってみました。全くの個人的興味からでそれ以上の意味はありません。ちなみに非公開コミュで、自分のメモ用にするつもりです。他の会員さんも招待しないと思います。じゃあなんでわざわざここに書くのかというと・・・それは行間を読んで下さい、ってことで。

個人投資家コミュニティの存在理由
http://minkabu.jp/community/show/4721
 
2件のコメントがあります
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    株育男さん
    2008/7/28 23:35
    描写がリアルですね。ドキドキしました。
    『唐突な小説もどきの文章』ということは、
    小説ではなく実体験ということなんでしょうか!!?
    山登りが趣味とは、NGTNさんも意外とアウトドア派なんですね。

    ところで、あそこで記憶が途切れるという事は、
    転落して頭を打った、という事ですよね??
    けっこうな大怪我じゃないでしょうか。大丈夫でしょうか。
    あっ、いくら何でも本当に落ちた訳じゃないか!?
    だって前に奥多摩かどっかに行ってませんでした?

    大怪我したら、もう山登りなんて行きたくなくなりますよね??
    (でも、本当に好きだったらまた登っちゃうのかなぁ。
     『そこに山がある限り』。なんちゃって!)
    もう一回山に行こうと思った気持と、
    その時には初回とどう違う準備をしたのかが気になります。

    それにしてもこの日記、いろんなところが分からない!
    ※行間読めなくてごめんなさい!
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    NGTNさん
    2008/7/29 00:35
    いやいや、フィクションですよ~。私自身は、ちゃんとした山に登った経験無いですし。冬になるとスノボで山にはよく行ってますが、自分で登っているわけじゃないですしね。。。

    「僕」のその後については、読者の想像におまかせするってことで。もしかしたら、あの世からの回想かもしれませんよ!?

    山での事故で大怪我をして後遺症が残ってしまったら、また山に登りたくても登れない身体になってしまうかもしれませんね。というわけで山に登りたかったら、ちゃんと準備はしていった方が良いでしょうね~。最近は、高尾山でも遭難事故が増えているみたいなので、手軽に見える山でも侮ってはいけないですね。

    あ、基本的に自己満足日記なので、色々と分らないところがあると思います。しょうがない!だって、じこまんだもの!
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