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「コラム」開発途上国と先進国の医療水準(その2)


今日、大きなニュースが飛び込んできました。
19日から開かれていたWHO総会が「公衆衛生と技術革新、知的財産権に関するグローバル戦略」を採択して閉幕し、その中で、開発途上国に対する医薬品の供給を強化することが盛り込まれたということです。
・日経ネットの記事
http://www.nikkei.co.jp/news/kaigai/20080525AT2M2500225052008.html

 
「公衆衛生と技術革新、知的財産権に関するグローバル戦略」の中身についてはこれから調べますが、まず、開発途上国の悲惨な現状について、データを示しておきます。
 
◇貧困ライン(1人1日当たりの生活費1ドル以下)の人口割合(購買力平価換算)/安全な水が1km以内で得られない人口割合
インドネシア:7.5%/23%
パキスタン:17.0%/9%
バングラデシュ:41.3%/26%
アフリカ全体:38.2%/35%
ナイジェリア:70.8%/52%
ザンビア:63.8%/42%
ニジェール:60.6%/54%
ルワンダ:60.3%/26%
シエラレオネ:57.0%/43%
マリ:36.1%/50%
エチオピア:23.0%/78%
 
◇満5歳未満の死亡率/栄養不良の人口割合/トイレがある人口割合
日本:0.4%/2.5%/100%
インドネシア:3.6%/6%/55%
パキスタン:9.9%/24%/59%
バングラデシュ:7.3%/30%/39%
アフリカ全体:14.8%/30.4%/39.5%
シエラレオネ:28.2%/51%/39%
アンゴラ:26%/35%/31%
ニジェール:25.6%/32%/13%
マリ:21.8%/29%/46%
コンゴ:20.5%/74%/30%
ルワンダ:20.3%/33%/42%
ナイジェリア:19.4%/9%/44%
ザンビア:18.2%/46%/55%
エチオピア:16.4%/46%/13%
スーダン:9%/26%/34%
 
◇国民1人当たり医療費支出(04年)/1千人当たり医師数(00-05年)
日本:2,831ドル/2.0人
アメリカ:6,096ドル/2.3人
イギリス:2,900ドル/2.2人
ノルウェー:5,405ドル/3.1人
スイス:5,572ドル/3.6人
インドネシア:33ドル/0.1人
アフリカ全体:41ドル/0.4人
エジプト:64ドル/0.5人
スーダン:25ドル/0.2人
エチオピア:6ドル/0.05人
コンゴ:5ドル/0.1人
 
◇地域別援助対象者数(難民・国内避難民・帰還民等の合計、07年)
世界全体:3,286万人
アジア:1,491万人
アフリカ:975万人
南米・カリブ海:354万人
ヨーロッパ:342万人
 
◇出身国別難民人口(06年)
世界全体:839万人
アフガニスタン:190万人
スーダン:69万人
ブルンジ:43万人
コンゴ:43万人
ソマリア:39万人
パレスチナ:35万人
ベトナム:34万人
リベリア:26万人
イラク:23万人
アゼルバイジャン:23万人
 
◇HIV感染者数(05年)
世界全体:3,860万人
日本:1.7万人
イギリス:6.8万人
アメリカ:120万人
インド:570万人
サブサハラ・アフリカ合計:2,450万人
南アフリカ:550万人
ナイジェリア:290万人
モザンビーク:180万人
ジンバブエ:170万人
タンザニア:140万人
ケニア:130万人
コンゴ:112万人
ザンビア:110万人
ウガンダ:100万人
  
◇識字率(00-04年)
日本:男99.9/女99.7/計99.8%
アフガニスタン:男43.1/女12.6/計28.0%
アフリカ全体:男66.1/女47.0/計56.1%
エジプト:男83.0/女59.4/計71.4%
ルワンダ:男71.4/女59.8/計64.9%
スーダン:男60.9/女71.1/計51.8%
エチオピア:男50.0/女22.8/計35.9%
シエラレオネ:男46.7/女24.2/計34.8%
ギニア:男42.6/女18.1/計29.5%
アンゴラ:男42.6/女18.1/計29.5%
 
・総務省の統計
http://www.stat.go.jp/data/sekai/

・外務省の統計
http://www.mofa.go.jp/mofaj/area/af_data/index.html

・外務省「世界の医療事情」
http://www.mofa.go.jp/mofaj/toko/medi/index.html

・UNHCR(国連難民高等弁務官事務所)
http://www.unhcr.or.jp/ref_unhcr/index.html

 
これらを見ると、いかに日本が恵まれているかが良く分かります。
国民1人当たり医療費支出はエチオピアの460倍。日本人が1年間に使う医薬品の金額は、エチオピア人にとっては460年分に相当するということになります。
満5歳未満の死亡率は日本は0.4%ですが、アンゴラは26%。4人に1人が5歳を迎える前になくなってしまうという悲惨な状況です。
我々の今の生活からすれば、想像を絶するという言葉が相応しいでしょう。
医療機関の株式会社化がどうの、社会保険庁の解体がどうの、というレベルではありません。
 
さて、今回、WHO総会が採択した「公衆衛生と技術革新、知的財産権に関するグローバル戦略」を調べてみましたが、インターネット上ではまだあまり情報が手に入らないようです。もう少し時間が経ってから、詳しく調べることにします。
日経ネットの記事を読む限りでは、開発途上国における感染症の治療薬を開発しても利益にならないために医薬品の開発が滞っている現状を打開するために、WHOが主導して途上国向けの医薬品開発や技術移転を求めていくことになる、ということです。
まさに、私が前回の記事で懸念していたことがそのまま出ていますね。
世界のメジャーな製薬会社、上位から、ファイザー、サノフィ・アベンティス、グラクソ・スミスクライン、ノバルティス、アストラゼネカ、J&J、メルク、ロシュ、ワイス、ブリストル・マイヤーズ、イーライリリー、アボット、アムジェン、ベーリンガー・インゲルハイム、そして、武田薬品工業、アステラス製薬、第一三共、エーザイ、大塚製薬、中外製薬、大日本住友製薬、田辺三菱製薬、塩野義製薬、小野薬品、協和発酵。
これらの立派な企業群がそれぞれ協力して、開発途上国への支援を実施したならば、途上国の悲惨な現状は劇的に改善されることでしょう。
近年の医薬品業界を取り巻く環境は非常に厳しく、どの企業も生き残りに必死ではありますが、現在、CSR(企業の社会的責任)が大きく取り上げられているように、今こそ医薬品業界のCSRが問われているのではないでしょうか。
 
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