ユリウスさんのブログ

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 国際成人力  -日本が一位(OECD調査)-

 昨日、経済協力開発機構(OECD)が24カ国の16~65歳の男女を対象に初めて実施した「国際成人力調査(略称PIAAC)」結果を公表した。
 わが国は15万7千人を対象に「読解力」、「数学的思考力」、「ITを活用した問題解決能力」の3分野が調査され、大変喜ばしいことに平均点で世界第一位となった。
 分野別に見ると「読解力」と「数学的思考力」の2分野で平均点が第一位、「ITを活用した問題解決能力」は10位だった。

読売新聞の記事(クリックすれば拡大して読めます)

調査対象:
OECD加盟のオーストラリア、オーストリア、カナダ、チェコ、デンマーク、エストニア、フィンランド、フランス、ドイツ、アイルランド、イタリア、日本、韓国、オランダ、ノルウェー、ポーランド、スロバキア、スペイン、スウェーデン、アメリカ、フランドル地域(ベルギー)、イングランド及び北アイルランド(イギリス)
OECD非加盟のキプロス共和国、ロシア連邦
・ 参加国の国内に居住する16歳以上、65歳以下
・ 病院、介護施設、刑務所、軍の基地の施設居住者、海外転居者は除く


 これは国際比較のための調査なので、上位10カ国をシッカリみておきたい。
「読解力(literacy)」
1 日本
2 フィンランド
3 オランダ
4 オーストラリア
5 スウェーデン
6 ノルウェー
7 エストニア
8 ベルギー
9 チェコ
10 スロバキア
****************
12 韓国
13 英国

「数学的思考力(Numeracy)」
1 日本
2 フィンランド
3 ベルギー
4 オランダ
5 スウェーデン
6 ノルウェー
7 デンマーク
8 スロバキア
9 チェコ
10 オーストリア
*******************
12 ドイツ
16 韓国

「IT活用能力(Ploblem solving in rich-environments)」
1 スウェーデン
2 フィンランド
3 オランダ
4 ノルウェー
5 デンマーク
6 オーストラリア
7 カナダ
8 ドイツ
9 英国
10 日本
**************
11 ベルギー
14 米国
15 韓国

 数字からはいろんなことが読み取れる。米国はトップ10に入っていないが、リーダー層のレベルが高いのだろうと思う。(中国も韓国も米国型だろうと推測する)数字を見て、日本はIT教育が遅れていると指摘し、早急に改善すべきと言う声が大きくなるに違いない。目先的にはそれも大切だけれど、教育は百年の大計だから、翔年はもっと先を見通した教育界の改革を望んでいる。
 読売新聞の詳細記事によると「文章や資料を適切に理解する『読解力』は日本の成績が飛びぬけて高かった」という。が、もう一つの特徴は「成績の低い人の割合が非常に少なく、また、上位と下位の差も小さいかった。」と指摘している。

 これは戦後の学校教育の成果であると新聞は伝えている。そのとおりであるが、いいことづくめではない。翔年は将来に一抹の不安を感じる。それをハンガリー出身の数学者、ピーター・フランクルさんに語ってもらおう。
「88年に来日して驚いたのは、小学校が学力の低い子のレベルに合わせて授業をしていること。それが全体を底上げし、今回の好成績につながったのだろう。日本の学校では競争をあまり行わないので、トップ層が少ない。(中略)明確に学力の評価を与えるほうが、できる子の才能を伸ばせると思う。」

 近い将来、食料やエネルギーや資源不足から、厳しい国際競争にさらされざるをえなくなるわが国は、トップ層が少ないどんぐりの背比べ集団では国際社会に伍していけなくなり、先細りになる心配がある。
 子どもたちとよく接している大人は子供が競争好きなのをよく知っている。かけっこにしろ、サッカーにしろ、カードゲームにしろ、競争を嬉々としてやるのが子どもたちだ。その力を大人から認められれば更に向上心が刺激されるのは論をまたない。教師が従来型の底上げを重視した教室運営をするかぎり、できる生徒にとってその授業はほんとうにつまらないであろうと思う。できる子どもが目を輝かして学べる能力別授業を取り入れる英断を教育界にお願いしたいと思う。
 スポーツ教室でも音楽教室でも囲碁教室でもその子どもにあった最適なレベルを教えるのが子どもの能力向上を願う教師の務めなのだから。




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