ユリウスさんのブログ

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低迷の日本囲碁界  -ここが変だ- (2)

 5月18日の続きです。

3 新聞社だけに頼っていてはダメ
 戦後のわが国囲碁界は新聞社と手を携えて発展してきたことは紛れもない事実で、今もその状態は変りません。現在の7大棋戦とそのスポンサーはこのとおりです。

棋戦名(優勝賞金)    スポンサー   
棋聖戦(4500万円)   読売新聞

名人戦(3700万円)     朝日新聞   

本因坊戦(3200万円)    毎日新聞、大和証券グループ 

天元戦(1400万円)     ブロック紙3社連合

王座戦(1400万円)     日経新聞

碁聖戦(800万円)      新聞囲碁連盟

十段戦(750万円)      産経新聞

 スポンサーはどこだったっていい、お金さえ出してくれればそれでいいと考えていたらそれは大間違いと言うもの。日本の新聞社の大半の読者は日本人です。ということは新聞社は日本人向けの記事を書きます。今まではそれで何の問題もありませんでした。

世界中の囲碁ファンのあつまる米国の大会 Photo by Go-Ejournal 

 今はグローバルな時代、情報通信の時代ですし、ありがたいことに囲碁は世界的な規模で普及しはじめており、囲碁人口は東アジアにとどまらず、ヨーロッパや南北アメリカにまで大きく広がってきています。現下の世界囲碁界を引っ張るプロ集団は中国と韓国です。それなのにわが国は新聞社故に、日本人の打った碁を詳細に日本人向けに解説しているのです。その最たるものは、上の棋戦すべて、出場資格のあるのは日本棋院と関西棋院に所属棋士だけです。わが国の囲碁界に世界中の強者が参加できるオープン棋戦は皆無であるということです。
 ハッキリ言うと、世界中から注目されない伝統の棋戦がわが国にはゴロゴロあるのです。 


 目を世界に転じて、現行の世界選手権の棋戦名とスポンサーを列挙します。

棋戦名                  スポンサー 
春蘭杯世界選手権        春蘭集団

三星火災杯世界囲碁マスターズ    中央日報、韓国放送公社、賛成火災海上保険

LG杯世界棋王戦            朝鮮日報社、LG

応氏杯世界選手権           応昌期基金会

BCカード杯世界選手権        BCカード

百霊杯世界囲碁オープン戦      貴州省人民政府、貴州百霊企業団


 当然、スポンサーは世界の顧客に目を向けています。同じように、それぞれの国のファンは、世界最強の舞台で自国選手が活躍するのに熱狂的な声援を送っていますし、棋士もそれに応えるべく国を挙げて研鑽を積んでいます。。
 このような状況になっていても、旧態依然たる棋戦運営をしているのがわが国の碁界です。準鎖国常態みたいです。ひたすら外圧を受けないように強い外国棋士が入ってこないように障壁を作っているのです。



4 名人戦か本因坊戦をオープン化せよ
闇雲にオープン化せよといっても無理だと思われるので、翔年は伝統ある名人戦か本因坊戦の「タイトル名称」の使用権をグローバルに活躍している企業に売るのが、もっとも実現しやすい提案ではないかと考える。こういうと新聞社がタイトル名称を手放さないという意見が出るに違いない。そういう場合は新聞社とグローバル企業の共催にする努力をすればいい。


次の世代の囲碁ファン   photo by Go-Ejournal

 そうなるとどうなるか。当面日本人はタイトルをとれないかも知れない。それでもいいではないか。世界最高の対局が日本で行われるのだから。

 テニスのウインブルドンでの優勝は英国人の年来の悲願で、昨年74年ぶりにマリーが優勝するかと期待を集めたが、結局優勝を果たすことはできなかった。ゴルフのジ・オープンでは19年ぶりに昨年アイルランドの選手が優勝している。自国の選手が活躍しないからと言って伝統の勝負の舞台はイギリス人によって世代から世代へとキチンと受け継がれていって、世界中のファンに愛される世界の財産となっているのです。伝統とはそういうもので、排除の論理によってほそぼそと受け継がれていくものではあってはならないと思います。

 続きは来週です。ご期待下さい。



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