jojuさんのブログ

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★貿易自由化、雇用自由化、農業競争力

 政府(官庁)の試算したTPP損得勘定(GDP0.6%押し上げ)は正確ではない。

 実際の効果はもっと高い。

 官庁の試算は、現状の変化が無いことを前提に短期的損益だけを見ているうえ、かつ競争力の弱い産業の被害を過大に試算しているから(競争力の弱い産業=官需産業なので、被害を大きめに見積もる誘因が働く)。

 貿易自由化(貿易ルールの規制緩和・公正化)は、全ての国民、両国の国民に利益をもたらす。 

 これは論理的にも経験的(歴史的)にも明らかなのです。

 

 それなのに、支離滅裂なTPP反対論や、TPP交渉に関するデマ(不正確な事実)が一部マスコミから盛んに喧伝されている(まるで日本衰退を望むがごとく)

 TPP反対に傾いているヒト、産業は、屁理屈やデマに惑わされず、冷静に中長期も含めて損得を計算すべきではないでしょうか?(農業関係者はこの拙文を最後までしっかり読んで欲しいし、理解し自分の意見のごとく言えるようになるまで繰り返し読んで欲しい、、、批判も大歓迎(^_^)/


 

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 貿易自由化はなぜ、利益になるか?

 

 それは、、、

 自由化により、競争力の強い産業が世界に市場を広げられるから。

 競争力の強い産業の雇用が拡大し、競争力の弱い産業の雇用の受け皿になるから。

 競争力の弱い産業から強い産業への人材移動、資金移動が起きるから。

 

 それにより競争力の強い産業を中心にイノベーション(新規需要創出)が進みやすくなるから。 その一方、競争力の弱い産業の過当競争、過剰雇用が解消されるから。

 また、競争力の弱い産業では輸入品圧力により得意分野へのシフトや効率化が進むから。

 

 つまり、国全体として見れば、産業シフト、イノベーションにより平均競争力の底上げが進む。 国内産業間の競争力格差も縮小する

 これにより国民所得は上がり、国内消費は活発化し、潜在成長率は上がり、投資収益率(年金利回り)も上がり、税収も上がり、財政好転も進むようになる。

 

 資本移動(資金移動)の自由化が進んでいる現在では、国際的な資金移動(投資活動)によっても、上記の産業シフト、イノベーションが進みやすくなる。

 資本移動の自由化があるのに、貿易自由化を進めないのは片手落ちである。 片手落ちでは、国内資金は投資機会を失い、国内産業は競争力向上の機会を失う


 

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 さらに、、、

 自由化により、国民は、国内の競争力の弱い製品・サービス(割高で粗悪な製品・サービス)でなく、海外の競争力の高い製品・サービス(割安で高品質の製品・サービス)を買えるようになる。

 こういうことが、自由化を進めた両国でお互いに起こる。

 これは当然、両国民の消費、暮らしを一層豊かにする

 また、気象変動、自然災害により食料、資源が自国で得にくくなっても、貿易自由化を進めていれば、世界中から調達しやすくなる。 安全保障上のメリットもある。

 

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 それでは、貿易自由化で競争力の弱い産業は悲惨なことになるか?、、、、これも実は否である。

 

 自由化を行う国同士が『適切な』インフレ目標政策を取っていれば、そうはならない。

 なぜなら、インフレ目標政策により、両国の平均競争力が一致するように『為替調整』が起きるからである(従前日記★2年2%ー物価統計。最適インフレ目標。TPPの主役参照)。

 それぞれの国が、それぞれの経済規模、潜在成長率に応じた『適切な』インフレ目標政策を取っていれば、為替調整が起き、両国の競争力格差は平均的に無くなるのである(ただし経済規模(GDP)の小さい国は潜在成長率が高くなるので、インフレ目標も高めにする必要がある)。

 

 つまり、為替調整により際競争力格差の問題は無くなり、実質、国内競争力格差(平均的競争力を持つ産業(小売り業など)と農業の競争力格差)の問題だけが残ることにな

 

 だから、自由貿易化により、他国との競争力格差を恐れるのは見当違いである。

 競争力の低い産業(農業など)が恐れるべき、嘆くべきは、自国の他産業との競争力格差であって、他国の同産業との競争力格差ではない(自国内の平均競争力程度の競争力を確保出来た産業では、為替調整により海外製品の脅威は消失するから)

 

 しかし、他産業との競争力格差問題すら、上記のように産業シフトや競争力底上げが進むので、競争力の弱い産業も含め、中長期的には問題にならない(問題どころか、中長期的には前述のごとく、所得上昇、格差縮小や消費利便増大のメリットが得られる)

 特に雇用の自由化(=解雇規制の緩和=転職の容易化=起業・廃業の容易化)が進んだ国では産業間の人材シフトや、競争力の弱い産業での過剰雇用・過当競争解消や、競争力の強い産業への資金移動や、競争力の強い産業での人員不足解消、、等々が容易に進むので、一層、問題にならない

 

 

 為替市場の自由化が進み、インフレ目標政策を取った現在において、貿易の自由化を進めないのは愚策(反国民益)である


 

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 要するに、資本移動の自由化、為替市場の自由化を進め、金融政策の独立性を適正に行使すれば(『適正な』インフレ目標政策)、貿易自由化で両国の経済競争力は高まり、両国の国民所得も大きく増えるのである。

 日本は多くの諸外国同様、そういう状況にあるのだから、貿易自由化を進めないのはお●鹿なのです。

 

 現在、貿易自由化メリットを存分に享受するうえで(ほどほどには享受できますが、、)、日本に欠けるパーツ、日本が欧米諸国に比べ劣るパーツは『雇用の自由化』(=解雇規制の緩和=転職の容易化=起業・廃業の容易化)だけです

 

 実は、解雇規制は労働者保護のためでなく、左翼勢力(=労組幹部=労働貴族)を保護・強化するためにある

 解雇規制がきつければ、労組幹部は安定的・永続的に多額の組合費を徴収でき、それを左翼勢力の政治資金に流せるからです。 こうして、へんてこりんな左翼的政治宣伝、左翼洗脳が強化され、国民は一層、貧しくなっていく、、、

 

 実際、米国では、労組が強く解雇規制の強い業界(自動車産業、鉄鋼産業)は右肩下がりになり、賃金低下、雇用低下が起きました

 一方、労組がほぼ皆無で解雇規制の緩い業界(IT産業、バイオ産業などなど)は右肩上がりで、賃金上昇、雇用増大が起きてます。

 労組は実は労働者のためになってない。

 

 

 なぜ、そうなるか?

 労働者(=リスクをとらないヒト)を過剰に保護すると、起業リスクを取るヒト(起業家、有能な経営者)がいなくなり、新製品、新サービスが生まれなくなり、結果的に産業の陳腐化、賃金低下、雇用低下が起きるからです

 

 これは同じ会社内でも言えます。 

 労働者が過剰保護されると、ルーチンワークの社員ばかりが増え、新製品・新サービスが生まれなくなり、結果的に企業の衰退化、賃金低下、雇用低下が起きる。

さらに、そういうところで育ったサラリーマン経営者ばかりになると、国全体として産業競争力を失うことになる(社内の権力闘争には強いが、顧客志向は低いのがサラリーマン経営者の特徴。 つまり企業業績を下げることには強いが、業績を上げることは不得手なヒトが多い。 社内を必要以上に監視するが顧客をあまり見ない、自己の目先利益(任期中の利益)は見るが会社の中長期利益はあまり見ない、、そういうヒトが多い)。

 

ちなみに経済でいう競争力とは、収益力=稼ぐ力=より良い製品・サービスをより安く(効率よく)提供する力=社会貢献力、です。

周囲から奪う力、周囲をはめ込む能力は経済的競争力の本質ではなく、それはマイナスサムゲームになるので、実態は収益低下力で、経済的には負の競争力です(周囲から奪う能力は軍事的競争力と同義ですが、それを経済競争力と混同するお●鹿が世界的に多い。 経済ゲームと軍事ゲームは真逆の原理で動くのです(しかし、経済力の増大は軍事力増大とリンクしやすい、、、パワーバランスが長期に保たれていると軍拡競争の不毛に気付いて軍縮に転換するが、そうでないと経済力増大=軍事力増大になりがち)


 

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(補足:規制緩和片手落ちでの貿易自由化)

 雇用の自由化、起業・廃業の容易化など、産業シフト政策を取らない場合や、国内規制緩和、雇用自由化などイノベーション促進策を進めない場合でも、貿易自由化は上記のように十分メリットがあります。

 しかし、産業シフト政策、国内規制緩和、雇用自由化を進めない国の貿易自由化メリットは、それらを進めた国の貿易自由化メリットよりも小さくなる。

 結果的に、それらの国との潜在成長率格差は大きいままになる

貿易自由化を進めない場合ほどではないが、国力格差、軍事力格差は漸次大きくなっていき、将来的にパワーバランスの崩壊を招くことになります(当然、良い同盟関係も結べなくなり安全保障は危うくなっていく)

 

 

(補足:日本農業の競争力と未来)

 貿易自由化を進めた場合、日本農業は消失するか?

 否。 進めないほうが消失する。 実際、そうなってます(農業のGDPシェア低下、農業人口低下、農家の高齢化、農業所得低下、税金投入増大、国内他産業との競争力格差拡大)。

 貿易自由化を進めたほうが、産業シフトによる過当競争の消失、輸入品圧力による優位農産物へのシフトが進み、日本農業の競争力は高まりやすくなる

 

 それに、日本がインフレ目標政策を取っている限り、為替調整が働き、日米農業の競争力格差は、この20年の(日銀・財務省の)デフレ政策時代のように大きくならない

 ここ20年を基準に日米(日中も)の農業競争力格差を見るのは過大である。

 それに、すでに中国の『激安』農産物が入りまくっている現在、新たに米国の割安農産物が入ってきても被害は少ない

短期的被害に限ってもたかが知れてます(中長期的には上記のシフト効果や下記の補完効果で被害はゼロ化へ)。

 

 さらに、農業は自然条件、気象条件に立脚し、消費地近接が有利な産業であり、食文化と密接に絡んだ産業なので、自由貿易化しても他国農業で自国農業が完全代替されることはない(実際、『激安』中国農産物とも棲み分けが出来てますね)

というか、工業製品と異なり、かなり代替されにくい産業である。

 それぞれの国が、それぞれの自然条件に適した農産物を作り、お互いに輸出しあい、補完しあえる産業、、それが農業である。

 また、補完し合うことで、より柔軟で高度な食料安全保障を得られる(これは鎖国時代の江戸時代に飢饉が頻発したのと真逆な状況です。一国完結の食料安全保障政策は、実は脆弱で高コストにつく、、、農家含め全国民にメリット無し

 

 さて、米国の風土は、農産物の粗放大量生産には有利ですが、農産物はそういう作物ばかりではない。

オランダを見れば分かるように、貿易自由化で日本農業が活性化すること、農業輸出大国になることは、決して夢物語ではなく現実的目標である(農業関係者や政権党の政治家がお●鹿でなければ)

 

日本農業の問題は、農業に関わる人材を固定化していること(一子相伝的農業)、強い農家を叩き弱い農家(=実質的に農家でなく公務員・サラリーマンの兼業農家)を補助するような社会主義的政策(減反政策など)を取ってきたこと、今も取り続けていること(=戸別所得保障=経営安定化資金)、票田目当てで兼業農家中心の農政を取り続けていること、、、それにより国内他産業との競争力格差が開く一方になっていることです。

 

兼業農家への補助金を止めても兼業農家の保有自動車が2台から1台に減るだけで、平均的公務員・サラリーマンより裕福なことに変わりない、、、農家としての免税特典があったり、農地貸し付け収入や将来的な農地売却収入も見込めるから。

そのうえ、貿易自由化の中長期的メリットにより、兼業農家の中長期収入は、貿易自由化を進めない場合よりも膨らむことになる(土地の貸付料が上がりやすくなったり、土地を高値で売れる芽が出てくる等々)

 

日本農業低迷の原因は、一重に政治家の票田信仰、固定票神話による兼業農家過剰保護政策にある

兼業農家が全人口の3%(専業も0.5%ほど)に過ぎない現在、この神話は崩れてます。 現在の農政を維持する限り、農業人口は一層減り、固定票神話は一層崩れていくでしょう。

固定票神話の完全崩壊は、農家の高齢化を見るに、5年後、10年後の近未来の出来事です。

しかし、固定票神話のために貿易自由化を5年、10年先延ばししたら、国民益の損失は計り知れない

 

日本の農業問題は、国際問題、貿易問題というより、純粋に国内問題、政治問題で、解決は容易です(神話問題であり、富裕層(兼業農家)を更に豊かにする農業政策の問題だから)。 

首相の胸先三寸の問題なのです。

この程度の決断が出来なければ木偶(デク)を首相にしたほうがよい(指導者の仕事は『正しい』決断をすることだから、、。 けれど、マスコミの言うような『間違った』決断をしてはいけない)。

 

繰り返しになりますが、為替調整が効く現在、貿易自由化による農業への付加的実害は中長期的になく、貿易自由化による海外との競争力格差問題は、国内他産業との競争力格差問題に転換される。 で、貿易自由化は国内他産業との競争力格差問題を縮小する方向に作用する=農業競争力を高める方向に作用する。 農業競争力が強まって損をする農業関係者(兼業農家含む)はいないから、結局、貿易自由化に反対するのは農業の自爆行為と言える

 

農業関係者が最も注力すべきはインフレ目標(為替調整)がしっかり成されるか、自由化ルールが公正になるか(不公正残存ならば専業農家への補助金補填が必要だが、これが過度になれば農業競争力向上のアシを引っ張ることになる)、、、この2点であって、貿易自由化反対ではない

兼業農家保護は、兼業農家自身が、自爆度合いを強めたいならば続ければよい(短期メリット享受で中長期で損をしたいならばやればよい)

 

 

 

2件のコメントがあります
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    アジアさん
    2013/3/18 00:30

    こんばんは

    >貿易自由化はなぜ、利益になるか?

    日本人は真面目で農業技術もあり、自由化にすれば利益も大きく上げると思いますヽ(・∀・)ノ、それには若手の力も欲しいので改革も必要だと思う。

    そして安全や美味しいブランドを作れると思いますヽ(・∀・)ノ

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    jojuさん
    2013/3/18 00:50

    どうもです。

     

    私もそう思います。

     

     おそらく、米国農産物は日本の農産物を締め出すというよりも、中国農産物を押し出すように外食産業向けに輸入拡大になると思います。

     米国産は中国産よりやや高めだけど安全、、ということかと。

     

     

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