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核廃棄物の無毒化を短縮する -わが国の最先端重要技術-

 福島原子力発電所の残念な事故が発生して以来、民主党政権の誤った誘導と迷走があって、わが国のエネルギー政策が、大きくゆがめられてしまった。その結果が少しずつ国民の目に見える形で現れてきている。
 貿易収支の大赤字(国富の海外流出)、電気をはじめとするエネルギー価格の上昇、国内での企業立地の困難性増大、核廃棄物処理技術の停滞、中国からの汚染物質の飛来(大量の化石燃料の使用が原因)など、原子力エネルギーの利用をやめればこれらのマイナス現象が必然的に増大するのは当然のことだと思う。


岸田一隆著 「ボクらのエネルギーってどうなるの!?」 X-Knowledge刊

 このエントリーでは原発反対派は勿論、賛成派にも十分議論を尽くして欲しい核廃棄物の無害化技術について書きます。簡単に言うとたいへん長寿命(十万年)の放射性廃棄物を短寿命(数百年)なものに変えてしまうという「核変換技術」です。

「廃棄物処理問題」
 そもそも、原発をやめたら廃棄物の問題はなくなると考えている人が多い。日本がやめたらそれでハッピーと言う人はもっと多い。蛸壺に住んではるみたい。(笑) 岸田一隆著「ぼくらのエネルギーってどうなるの!?」に非常に分りやすく廃棄物処理のことが書いてあるので、この本を参考にしながら数字を上げて考えてみます。

1 わが国では1万3000トンの使用済み燃料が各原子力発電所に貯蔵されている。
2 六ヶ所村の再処理工場には約3000トンが再処理されるのを待っている。
3 その上、わが国の原発54基全部稼動すると毎年1000トンずつ増えていく。

 この事実は「これをどうするか?」と問えば、反対派も賛成派も関係ありません。事実を直視すれば、いやもおうもないのです。特に反対派の方々は、キャッチフレーズの「地球を汚すな」、「子孫に害を与えるな」を頻繁に使われていますから、この技術について一緒に真剣に考えてくださることを期待します。

 その前に、話をスムーズに前に進めるために、今までのわが国の核燃料サイクルについておさらいをしておきます。

「核燃料サイクル」
 できるだけわかりやすく簡単に書きます。
1 日本の原発はほとんど全部が軽水炉です。軽水炉の燃料は濃縮ウラン。これを1トン燃焼(原子炉の中で核分裂反応)させた場合、核分裂生成物が46kg,他のTRU核種が1kg,合計で47kgが生成されます。(でも、重量比で燃料の4.7%ですから石炭に比べえたら極端に少ない)

2 わが国の政策は原発で使った使用済燃料からウランとプルトニウムを回収してもう一度使おうというものです。燃やした燃料からまた燃料が生まれて来るのですから、エネルギー資源の乏しいわが国にとっては、夢のような、魔法のような話です。

3 ひとつは使用済み燃料の再処理技術(六ヶ所村)ですが、わが国ではまだ技術的に確率していませんが、いずれ技術的突破ができると思います。

4 もう一つの方法は高速増殖炉(FRB)で燃料を燃やして発電しながら、次の核燃料を生成していく技術です。「もんじゅ」がその研究です。実はこの炉に廃棄物を混ぜて無害化することも可能なのですが、今研究は止められています。

5 だったら、「廃棄物としての残った47Kgをどうしよう?」というのが、残された問題になります。


「核廃棄物を無毒化する技術(ADS)
1 加速器駆動核変換システム(ADS)は十万年かかる核廃棄物の無毒化を数百年~数十年に短縮する技術です。

2 一番有力視されているのは、核変換したい物質の原子核に中性子を当てて核分裂させ、短寿命の核分裂生成物に変えてしまうという方法です。これは原理的に可能です。(他の方法もあります)

3 わが国では原研と高エネルギー加速器研究機構とがジェーパーク(J-PARK)というプロジェクトを始めている。

4 外国ではベルギー、フランスなどがこの技術で進んでいるが、日本のレベルも高いらしい。ベルギーのプロジェクトがうまくいくと、2022年から運転できるそうです。

 
 翔年は無資源国の日本は原子力発電技術、高速増殖炉の研究、それから加速器駆動核変換システム(ADS)等の研究は絶対に継続するべき重要な技術だと思っています。後に続く世代のためにも、科学技術に蓋をするようなことはしてはならないと考えます。「どうして一番でなければいけないのか?」、「無駄使いである」、「原子力村」などの言葉を投げつけて、「もんじゅ」や「六ヶ所村再処理システム」やその他の重要な研究開発を閉ざしてしまう意見は死んでも言いたくありません。
 ADSのことについては、上掲の書籍の他に、「文芸春秋二月特大号」に評論家の立花隆氏が「最先端技術と10年後の日本」に於いて触れて書いておられます。大局を俯瞰し、技術を十分理解できる方々の見識ある意見がもっとメディアに取り上げられることを念願しています。


※TRU=超ウラン(Trans-uranic)。ネプツニウム、プルトニウム、アメリシウム、キュリウム等の総称。天然には存在しない。
 
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登録日時:2013/02/09(12:20)

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