ユリウスさんのブログ

最新一覧へ

« 前へ240件目 / 全702件次へ »
ブログ

ブレア元英首相に学ぶ(1)  -リーダーシップ

 1月1日から、日経新聞、私の履歴書にトニー・ブレア元英国首相が回想録を書いている。43歳で英国首相になった労働党のブレア(1997年5月)を、当時から翔年はずっと尊敬の気持ちを抱きながら見ていたが、彼の回想録を読んで(まだ連載は継続中です)、我が国の政治家との違いが際立っていると思いました。政治を目指す人だけでなく、政治にすこしでも関心のある人は、彼の回想録から学ぶことは多いと信じます。

 「私の履歴書」を読んで、こんなリーダーはいいなと翔年が共感できた箇所を拾い上げてみました。(項目のタイトルは翔年が便宜的につけました)

1 リーダーは決定を下す者
「私は突然、新進気鋭の挑戦者から、責任を担う者になり、物事が間違っていると説明する者でなく、間違いを正す決定を下す者になった。」
「首相としての責任は、野党党首とは全く異質なものだった。」
→ それまで、政府の職についたことは一度も無かった人物が首相になって、戸惑いがあったことを率直に述べている。この回想録から学ぶとこは多いと信じます。
民主党の鳩も菅もどじょうも、同じような戸惑いはあったと想像しますが、どのような国にしたいのかの明確な理念のある無しが、その後の政治的スタンスを決定することは明らかと思います。

2 明確な国家像を持つ
「私は英国を、階級よりも実力に関心を向け、開かれた社会とグローバル経済を受け入れる国にしたかった。」
→ 政治リーダーには明確な国家目標がなければならない。ブレアは「階級より実力」とハッキリ言い切っています。これがリーダーの大きな資質でしょう。票の行方を心配してこういう基本的なところをあいまいにする政治家が我が国には多いですが、リーダーの資格を欠いていると言わざるを得ません。

3 戦う勇気を持つ
「10歳くらいのころ、学校にいじめっ子がいた。彼はわたしの悪口を繰り返し、私は彼のいる場所にいくのを避けて過ごしていた。あるとき、そのいじめっ子が肛門のところで私に向かってきた。私は意を決して言い返した。『いじめをやめなければ殴り返すぞ』彼はこちらが本気だということが分ったのだろう。それで彼はいじめをやめた。子供は、校庭でけんかの勇気を学ぶものだ」
→ この考えに賛成します。このような経験は誰でも持っている。それを国際政治の場にまで持っていったのがブレアですね。
隣国の中国に対しても、韓国に対しても、本気で対峙する勇気ある姿勢が我が民主党政権には決定的にかけているのが悲しいです。

4 問題解決の基本的な考え方と方法
「彼は真の意味で物の考え方を教えてくれた。それは問題を原点から分析・解剖してから解決策を構築するということだ。」
「問題を徹底的に調べ、見方を変え一度離れてみて、また戻るというのが彼のやり方だった。」
→ 若い頃、ブレアは弁護士事務所で見習い中に、上司から怒鳴られながら学んでいる。ここにも厳しい上司(先生)こそが人を育てるという見本があります。
問題を原点から調べて結論を導くブレアに対して、福島原発事故の原因も明らかになっていないのに、早々と脱原発に走った菅前総理や日本の安全保障の本質論を抜きにして、沖縄の米軍を「国外か少なくとも県外」などと、軍隊の存在場所をどこにするかというように矮小化して事をなそうとした鳩山元総理では比べるのも愚かということでしょう。


5 時代遅れの党を近代化する
「党改革が必要なことは明確だった。労働組合が支持母体では、与党を目指す近代政党を支えきれなかったのだ。(中略)労働党は時代遅れの党と写っていた。」
→ 30歳で下院議員に当選した頃、保守党のサッチャーの時代で、労働党は選挙で大敗を繰り返していたのでした。労働党でありながら、労働組合が支持母体ではダメと早くも認識していたのですね。そして彼は党改革に乗り出すのです。民主党は、時代遅れの政党にならないために、ブレアからよく学んで欲しいです。


6 労働党規約代4条の改正
「『生産・分配・交換手段の公的所有』をうたったこの条項はかって労働党の信条の中核だった。(中略)が20世紀末の世界では非現実的だった。」
「第4条を文字通り信じるものはいなかった。それでも、誰もあえて破棄しようとしなかった。」
「この偶像をはかいすれば党員の心理が変る。党改革には不可欠だったのだ。」
→ 我が国の民主党はブレアの言う古い労働党よりも酷い。何故なら党の綱領もない政党だから。基本問題について真剣に議論できないし、議論していない烏合の衆の政党なんですから。我が国でいえば憲法9条などがブレアの言う非現実的なものでありましょう。
ブレアの改革はこのよう問題の核心にせまる迫力があるから素晴らしい。
 
7 基本は個人の尊重
「戦後の労働党の問題は、強力な政府、労働組合、団体交渉など手段ばかりを重視し、個人の尊重と言う基本目的を見失ったことだ。」
「人々は国の助けより、お金を稼いで使う選択の自由を求めるようになった。」
→ これだけの新しい感覚をもった党首をもった労働党は幸せだった。そしてブレアが首相に就任したことで、英国民も幸せになれた。

8 労働党の新政策
・民営化した公益事業は再国有化しない。
・所得税の最高税率は上げない。
・グラマースクールは廃止しない。(イギリスの中等教育の一翼)
・反社会的行為に厳罰で臨む。
・公的部門の投資と改革を進める
・失業者に雇用機会を与えるが責任も求める。
→ さすが、ニューレーバーですね。中身の吟味は煩雑を避けてここではしませんが、極めて健全な政策だと思いませんか。バラマキ政策はここには見られませんね。それどころか、強い社会にしようとする意志が政策から感じられます。

(続く)


いつも『もの言う翔年』を読んでくださりありがとうございます。お陰さまで「政治評論」も「囲碁」も上位のランキングに入っております。コメントをいただいたり、ランキングがそこそこにとどまっているのを励みにBlogを書いております。お暇なときに見て行ってください。にほんブログ村にほんブログ村
コメントを書く
コメントを投稿するには、ログイン(無料会員登録)が必要です。