ユリウスさんのブログ

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菅政権のゆくえは?

 
 菅総理が率いる「再改造内閣」が14日に発足した。思い返すと総理自ら命名した「騎兵隊内閣」はわずか3ヶ月で「有言実行内閣」に改造され、今回の再改造内閣は名前をつけないという。総理は恥ずかしくて命名などできないのであろう。なぜ内閣に名前をつけるのがしらじらしく感じられるのか。それは我々の心の中に、この内閣は何も実行できないのではないかという疑心がぬぐえきれないないからだと思う。
 
 政権交代に国民は(翔年も)大きな期待を寄せたが、鳩山政権で民主党マニフェストのウソと民主党の力量不足がハッキリ見えてしまい、期待感は大きな失望感に変わった。翔年は昨年6月の菅「騎兵隊内閣」には「期待度を書く気がしない。大きな期待を持っていない。」と書き、9月の菅「有言実行内閣」に対しては「この改造内閣も長持ちしないと思われる」と書いた。まぁ、予想通りの展開となって、今回の「再改造内閣」が発足した。 

 大臣一人ひとりの期待度は今回も書かない。なぜなら、3月に内閣の危機が訪れる可能性が高いと見ているから。ただし、この内閣の基本的な問題点だけは、ハッキリ指摘しておかなければならない。

 まず、菅第2次改造内閣の閣僚名簿(2011.1.14)をおさらいしておこう。

職名     氏名   年齢  当選回数    備考
総理         菅直人        64  衆10 
総務、地域主権 片山善博    59  民間      留任
法務      江田五月    69  参4、衆4 
外務       前原誠司  48   衆6      留任
財務      野田佳彦 53   衆5      留任
文部科学    高木義明    65  衆7    留任
厚生労働   細川律夫 67  衆7      留任
農林水産    鹿野道彦    68  衆11     留任
経済産業   海江田万里    61  衆5経済財政担当から横滑り
国土交通   大畠章宏 63  衆7  経済産業から横滑り
環境防災担当   松本龍  59  衆7      留任
防衛       北沢俊美 72  参4      留任
官房         枝野幸男     46  衆6   「沖縄・北方対策」
国家公安   中野寛成    70   衆11      「拉致問題、公務員制度改革」
郵政改革・金融   自見庄三郎    65  参1、衆7   留任、国民新党
行政刷新   蓮舫     43  参2      留任
経済財政    与謝野馨     72     衆10     無所属
国家戦略   玄葉光一郎    46  衆6     留任


官房副長官
藤井 裕久(衆議院)
福山 哲郎(参議院)                   留任

民主党役員人事
代表代行  仙谷 由人(衆議院)
幹事長   岡田 克也(衆議院)             留任
政調会長  玄葉 光一郎(衆議院)            留任
国会対策委員長  安住 淳(衆議院)


 まず、菅総理の組閣方針がどうだったのかを考える時、この内閣には大きな不信感を持たざるを得ない。

1 内閣再改造の目的は?
 菅総理は今回の改造は「危機を越えていく力を最大にしたいとの観点から行った。(仙谷由人官房長官と馬淵澄夫国土交通相の交代は、参院での問責決議が理由ではなく)最も強力な態勢を考えた。」と記者会見で語っていた。これは最初から国民に向かって、誰でもわかるウソをついたことになる。

2 与謝野経済財政大臣の入閣は何を意図して?
 民主党が前回総選挙のマニフェストで示した主な方針に対して、与謝野大臣はことごとく批判していた。ムダの削減と予算の組み替えによる財源捻出に対しては「理解しがたい」、税方式による最低保証年金を軸とする民主党の年金改革案に対しては現行の「社会保険料方式で進むことが具体的であり実現性がある」、子ども手当に対しては「ばらまき」「親が子どもための消費に回す保証などない」、事業仕分けには仕分け人を「中国文化大革命の際の紅衛兵」にたとえていた人物である。民主党の政策、特に経済政策をほぼ全面的に否定していたのは周知の事実だ。
 翔年は与謝野大臣の民主党批判には一理あると思っていたし、今もそう思っている。菅総理は与謝野大臣に何を担わせようとしているのか? 民主党のマニフェストはどうなったのか? 党内議論も不十分のままで政策立案ができるとは思えない。 

3 消費税の増税の前にすることがあるのでは?
 前回総選挙で民主党は消費税率の将来の引き上げの必要性には言及していたが、4年間の政権担当期間中に財政支出改革を行った上で、次の選挙で民意を問い、消費税率を引き上げるとの方針だったはずではなかったか。鳩山前首相はそう明言していた。しかし、菅再改造内閣の布陣は国民へのその約束に目をつぶり、ともかく消費税率引き上げを総選挙抜きで強行突破しようとしているかのように見える。
 
 翔年は思う。
A 最初から国民に見え透いたウソを言ってはいけない。国会運営を何とかうまく乗り切りたいという意図で改造をやったのは明らかなのに…。

B 来年度予算の総額は92兆4116億円。これは過去最大。一方で歳入は税収が40兆9270億円にとどまり、新規国債発行額は44兆2980億円に達する。「借金」が「税収」を2年連続で上回る異常な予算を組んでいるのは、国民がしぶしぶ認めると考えているからではないのか。あちら、こちらでバラマキをもらった国民が、不況は世界経済の停滞のせいだからしかたがないと考えて、この大赤字予算を認めるだろうと甘く考えているとしたら、大きな誤算となるに違いない。

C 総理に政治哲学がなく、組閣にしっかりとした理念がなく、予算に財政規律が欠如しているとしたら、ただでさえも動かないねじれ国会は動くはずがない。
 策士なら、国会が紛糾することをを見通した上で、このような赤字予算を上程し、おおもめに揉めさせて総理の首と引き換えに予算を通すことを考えるかもしれない。或いは、これを引き金に解散総選挙になだれ込むことを企図するかもしれない。その時には「政治とかね」にキレイな政党として、民主党は選挙に臨むこともありうるのではないか? こんなことにもう国民は騙されてはならない。
 翔年は総選挙になったときこそ、みんなの党などの力で、政界の再編をなしとげていただきたいと思う。政策を同じくする議員があつまって政党が生まれるという筋の通った政界再編が行われなければ、日本国民は二大政党のメリットを何時までたっても味わうことはできない。国民は投票行動によって政策を選ぶことができる選挙の実現を待ち望んでいる。
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