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中国株熱狂の行方は不良債権化?

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日経ビジネス(2007/11/5号)の特集記事「中国株熱狂の行方」(原文はWALL STREET JOURNAL 2007 Oct.16)によると、「上海および深セン株式市場の上場企業株式時価総額は3兆7000億ドルで、中国のGDPと同じ規模で米国並みの水準」とされています。そして、「昨年の上海市場上場銘柄のPERは69倍」と割高であり、その収益構造についても「上場企業の利益の約38%は事業収入ではなく、株式投資によるもの」と指摘されています。
PER69倍については、昨年時点の値なのか、昨年の上場銘柄を対象とした現時点の値なのか判りませんが、69倍という値が正しいとすれば、いずれにしても相当に割高であると考えられます。
また「企業利益の38%が株式投資によるもの」という点も、事実ならば問題がある。信用取引の2階建てみたいなものですからね。ベースとなっている株高がコケれば、ダブルパンチで利益が縮小するということでしょう。

同記事によると「中国の個人投資家は5000万人にのぼり、売買高の70%を占めている」ということですので、万一暴落という状況になった場合の最初の被害者は、中国の個人投資家ということになります。
一方で、「中国で住宅を購入した人の91.1%が住宅ローンを利用しており、そのうちの31.75%の人が収入の50%以上をローンの返済に充てている」(日経BIZ+)とされています。
北村豊の「中国・キタムラリポート」(2007/11/3)
このようなローンの組み方をすること自体が信じられませんが、投資と住宅ローンの両方をやっていたら・・・
株式相場の暴落は人生に壊滅的な打撃を与えることになる。
カバーし切れないリスクをいとも簡単に取ってしまうのは、バブル時の投資家の典型的な症状だと思われますが、どうでしょう。

そんな中で、上海総合指数は6日時点で4日続落。日足ベースで見るとダブルトップ形成のように見えます。


しかし、昨日5日の日経NETの記事では、
「(指数は3日続落の一方で)出遅れ感の出ていた中小型株には買いが入り、通信株やハイテク株は上昇。中小型株の指数寄与度は低く、指数の上昇には結びつかなかった」と報じられています。
米上海株、大幅に3日続落
つまり指数が下げたからとって買い意欲が衰えたわけではなく、資金シフトしているだけと見ることもできます。一時的な調整なのか天井を打ったのかはまだ判りません。

いずれにしても、こうした株高、好景気を背景にして、中国政府は多額の資金を手にしているようです。
こうした資金が中国の国防費が19年連続で2ケタ増を支えているのでしょうし、最近ではついに国外への逆投資につながり始めたということです。
「中国政府が管理する全国社会保障基金は現行の規定で国債や株式などに限っている海外での投資対象を、より高い収益が期待できる投資ファンドにも広げる方針だ。一方、銀行や保険会社など機関投資家による海外投資額は9月末までに100億ドル(約1兆1000億円)を突破した。国際金融市場で中国マネーの影響力が一段と高まりそうだ。」
中国マネー、海外投資加速・銀行や保険、解禁後1兆円超

こうなってくると、仮に中国株式市場が重大な状況になった場合の影響は、今年2月の調整時と違って、世界に波及しかねないのではないでしょうか。
そうした観点からすると、自分が中国株に投資していなくても、内実を把握するように努め、注視し続けるということが自己防衛になると思います。

最後に、中国経済の先行きを考えるにあたって参考になりそうな本が日経ビジネスに紹介されていましたので、以下に概要を記しておきます。
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 『10%以上の経済成長を続ける中国だが、今後、経済成長のペースがスローダウンした際には不良債権問題が浮上する危険をはらむ。中国人エコノミストがさまざまなデータを分析し、中国の不良債権問題を解説する。
 中国では国内の貯蓄率が高水準で推移し、投資の源泉となって経済成長を牽引している。過剰な投資によって生み出された生産物は十分に消費されない構造となっており、この状態が続けばいずれは頭打ちとなると指摘する。北京五輪、上海万博などイベント経済が一段落すると、構造上のゆがみが一気に顕在化すると予想される。採算の合わないプロジェクトに投資した国有企業は債務を返済できず、不良債権問題が急浮上し、金融システム全体が信用不安に陥る恐れがある。著者は2012年あたりがその山だという。』

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