サイコさんのブログ

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上意下達

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  資格ブログ村  法律系資格 現在 42位   士業(弁護士、会計士等)  現在 22位裁判所が道徳を破壊するいや、今回法律関係をと思って借りてきた数冊のうちの一冊なのだが、非常によろしくないものであった。この著者井上薫氏は横浜地裁判事を退官後、弁護士としてちょくちょくメディアに出てきたりして、丁度裁判員制度に反対してたりするので心情的にサイコも共感するかと思いきや、これを読んで「なんだこりゃ」なのである。しかし、こんな完璧な右よりな人がなんで退官させられたりするのかもと思うのだが、裁判官も一公務員であるところの制約を逸脱すると、現実的に懲戒させられたり左遷させられたりということなのだろうか。ここで「現実的」にというのは、公務員の中でも裁判官は、心身の故障により裁判で、審理が出来ないことを決定されるか又は公の弾劾によらなければ免職というか離職できないという身分保障が憲法で規定されているからである。例えばこの本に出てくるような日の丸君が代強制反対裁判~予防訴訟~の場合だと、学校の先生は最悪懲戒免職させられることもあるのだけれど、これを判決した裁判官は免職はされないけれども地方の家裁に左遷させられたりすることになる、ということである。それでこの2006年9月21日、東京地裁民事第36部 (難波孝一裁判長)で第一審判決は原告全面勝訴であった。詳細はリンクに任すが、これに対して著者の井上氏は、とんでもない誤判としてその理由を捲くし立てているのである。いちいちもっともと思うところもあるのだが、井上氏の見解にも限界があるように思われる。それと、これは一審であって最高裁ではないのであるから、ただ相当前にも書いたが、二審で逆に原告が敗訴して上告した場合に、事情判決が出される可能性が高いのではと思われるから、一種のそれこそ井上氏の予防線のようにも思うのだが。兎も角、現在、控訴審は進められているので、ちょっと注目である。国歌斉唱義務不存在確認等請求事件、とあるのでこれは行政事件訴訟法の抗告訴訟である無効等確認訴訟にあたるはずで、その36条に規定する予防的無効確認訴訟だとすれば、井上氏の反論は逆に作用することになるのではと思われる。具体的処分を前提にその取消しを求める取消訴訟では、原告の損害が大きすぎるわけで、不存在確認等請求により予防的に、10.23通達というそれ自体では法的拘束力をもたないものに対して、ただその通達により確実に都教職員の権利利益が侵害されるおそれがあるとして、取消訴訟の対象に当たらないとされている行為に対する救済として提訴されているのだと思うのである。ただ、井上氏がこれを上梓している意味は、それこそ法というものは正義であるからして倫理にも背く場合もあるのであるが、その倫理観念すらない上に正義を悪用、悪意で援用している輩を裁判官が助長している現実を浮き彫りにしたかったからなのだろう。ただ、ここでそれは最初のモンスターペアレンツの書き出しまでは良かったのだが、だんだんトーンが悪くなって結論的にうまくいってない、という結果のようだ。多分、題材が悪いのにも関わらず、最近の誤判の例としての「予防訴訟」についてあわてて書いたことが伺える。まぁ、兎も角、香山リカに続いて多分二度と読まない人である。タイトルは非常にそそられるのではあるが、あまり勉強にならないからね。法令用語解説通達 通達はあくまでも行政機関内部における指揮監督関係に基づき、下級機関に対する命令としての効果を持ちうるに過ぎないため、そこで示される法令の解釈は司法の判断を拘束しない。また通達そのものについては行政事件訴訟法にいう「処分性」がなく、通達の取消しを訴訟で求めても実体判断がなされず、却下決定(いわゆる門前払い)がなされる。悪意 法律用語としての悪意(あくい)は、ある事実について知っていることをいう。これに対して、ある事実について知らないことは善意という。この用法における善意・悪意は道徳的価値判断とは無関係である。今回、サイコが悪意で援用などと書いているところのものは、道徳と法とをない交ぜにした表現ではある。援用 法的効果を実現させるために意思表示すること。ここで、悪意で、正義=法を援用、などと書いているが、民法からするとこれは信義則(信義誠実の原則)上ありえないことなのだが、公序良俗にまで反して自己の権利のみを主張する馬鹿が多いことを「裁判所が道徳を破壊する」では言ってるのだが、そこだけは全くその通りである。法に抵触しそうなぎりぎりで、公共の福祉を乱すこと=権利を濫用する者が増えているのは、この本では裁判所が助長しているということに結び付けたいわけである。それが道徳心、モラルハザードの低下からくるとして、裁判所がいかに間違った判決を乱発しているのか、と弾劾したかったようなのだが、初めて法律に触れる人なら兎も角も、ちょっとかじった人であれば、この本の失敗はみえみえである。グゥーーーーー
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