ぎっしーさんのブログ

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スポーツの秋ですが

昨日の日経夕刊にアシックス創業者鬼塚さんの追想録が掲載されてました。

●「科学的」靴作りに疾走

「創業の地でオニツカタイガーが再び花開き、うれしい」。昨年11月、オニツカタイガー神戸店の開店記念パーティーに出席した鬼塚喜八郎氏は満面の笑みを浮かべてそう語った。まったくの素人から始めてスポーツシューズの名作を数多く世に出し、靴作りに人間工学や運動力学を持ち込んだ先駆者だった。

 1918年、鳥取県生まれ。旧制鳥取一中を卒業後、第二次世界大戦の兵役を経て、終戦直後の混乱期を神戸のヤミ市で過ごした。そんな生活に見切りをつけて始めたのがスポーツ靴作り。ヤミ市で荒れた少年少女たちを見るにつけ、スポーツで心の復興を成し遂げたいとの思いを強めたからだった。

 1949年に鬼塚商会を設立。スポーツ靴といえば舶来物の高級品しかなかった時代に、職人のもとに通い詰め、一から靴作りを学んだ。情に厚い人柄だったが、それは一面。「徹底して理論的に物事を考える人だった」(女婿の尾山基氏)

 吸盤型の靴底のバスケットシューズに空冷式のマラソンシューズ。一見とっぴに見える「オノツカ」の靴はすべてが理論に裏打ちされていた。一通り靴作りのやり方を学んだ後、今度は足そのものの構造を知ろうと京都の整形外科医のもとに押しかけたこともあった。

 合理的、論理的な姿勢は松下電器産業の故松下幸之助氏を尊敬していたことにも通じている。後年、贈ったウォーキングシューズを松下氏が履いているのを見かけたとき、涙を流さんばかりに喜んだという。

 1977年にスポーツウエアメーカーのジィティオ、ニットウェアメーカーのジェレンクと三社で合併。社名は「アニマ・サーナ・イン・コルポレ・サーノ」(健全なる精神は健全なる身体に宿る)の頭文字を取ってアシックスと付けた。今では国内スポーツ用品メーカー最大手。売上の6割近くを海外で稼ぎ出し、野球のイチロー選手、マラソンの高橋尚子、野口みずきの両選手も同社のシューズを愛用している。

 創業者ながら閉鎖的な同族経営を嫌った。まだ非上場だった1959年、株式の大半を社員に分け与えた。その後も持株比率は下がり続け、直近では1%に満たなかった。それでも長く求心力を持ち続けられたのは「私欲なく、仕事にかける情熱が周囲を納得させたのだろう」(親交のあったワールド共同創業者の畑崎広敏氏)。

 心残りもあった。アテネ五輪と同じく、北京五輪も現地に赴きたいと周囲に漏らしていた。2009年に完成する予定のアシックスの企業博物館についても、亡くなる直前まで展示物や企画について指示を出し続けていたという。

 今年2月、刎頚(ふんけい)の友だったワールド共同創業者の故木口衛氏のお別れ会で「後でいくよ。待っててよ」と繰り返した。自らの最後が近いことを感じとっていたのかもしれない。
                =9月29日没、89歳
            (大阪経済部 杉原淳一)

 創業者のもの作りへのこだわりには、本当に感心させられます。現在の上場企業の中でも同族経営の会社はありますが、非上場のときから、同族経営を嫌い、社員を大切にする姿勢には共感しました。
3件のコメントがあります
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    ヨッシーさん
    2007/10/6 19:01
    ひとつのことにひたすら打ち込む情熱って凄いものがありますよね。今は物つくりの場面も機械化が進んでいて、創業者や経営者の情熱が伝わりにくいのかもしれませんね。ネット社会になってますます物つくりに対する関心が薄れつつあるような気がします。
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    からすさん
    2007/10/6 22:26
    こんばんわ。

    私もモノ作りをしている技術者のはしくれですので、とても共感します。
    ・・・というかこの手のお話大好きです(笑)。昔、NHKでプロジェクトX やってた時なんて、クライマックスでは涙で目が潤んでましたから(恥)。

    でも、創業者でもなければ、こういう事は無理なんでしょうね。今のメーカーのサラリーマンなんて仕事の最初は金になるかならないかの検討からスタートですから。

    でもこういう人生歩んでみたいなあ・・・。
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    ぎっしーさん
    2007/10/7 20:41
    ヨッシーさんへ

    もの作りの機械化が進んでも最後は人の判断が必要ですね。日本の製造業の創業時の遺伝子。大切にしてほしいと願います。

    からすさんへ

    プロジェクトXでは、製造業の開発ストーリーって、ご苦労も多いと思いますが、やっぱり感動がありますよね。ぜひ、からすさんも感動的な人生目指して頑張ってください。
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