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脱石油 アブダビ、新エネ投資2兆円

アラブ首長国連邦(UAE)最大の産油国・アブダビ首長国が太陽光発電など新エネルギーに対する投資を加速している。将来の石油資源の枯渇に備え、石油に依存した経済構造を見直す必要があると判断しているためだ。アブダビではすでに化石燃料を使わない都市の建設も急ピッチで進む。アブダビの新エネ導入の拡大は、環境技術で世界の最先端を走る日本企業のビジネスチャンスにつながり、すでに布石を打つところも登場している。

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 アブダビ国際空港にほど近い砂漠地帯。東京ドーム43個分がすっぽり収まる総面積6.5平方キロメートルの敷地の一角に、紫色のパネルの放列が現れた。設置されているのは8万8000枚もの太陽光パネル。発電出力は1万キロワットに達し、一般家庭3300世帯分の電気を賄えるという。

 UAEの首都アブダビは2015年の完成を目指して、都市の電力すべてを太陽光など再生可能エネルギーで賄う経済特区「マスダールシティー」の建設を進めている。総事業費は220億ドル(約2兆円)で、完成後は約1500社の企業と5万人が居住する。

 特区完成時にはビルの屋上にも太陽光パネルが配置され、合計20万キロワット分の出力を太陽光発電が担う。アブダビは世界でも例をみない環境対応型の特区建設を足がかりに、将来はエネルギー需要の7%を新エネで賄う計画だ。

 新エネへの積極姿勢をみた日本企業は、1月19~21日までアブダビで開かれた新エネ技術の展示会に、新日本石油やシャープ、京セラなど太陽電池メーカーなどが出展し、現地での知名度向上を競った。展示会を訪問した新日石の松村幾敏副社長は「アブダビの開発は太陽電池を扱う当社にとっても魅力的」と事業拡大への意欲を示した。

 UAEの原油生産量は、日量297万バレルで世界8位。このうち9割程度をアブダビが担う。アブダビにとって富の源泉は、まさに原油。05~07年平均のGDP(国内総生産)778億ドルのうち、59%が石油・ガスから生み出される。

 それにもかかわらず、アブダビが石油需要の減少につながりかねない新エネの導入拡大を進めるのは、同国内で残り100年といわれる石油枯渇後をにらんでいるためだ。

 マスダールシティーの運営会社である政府系機関マスダールのスルタン・ジャベルCEO(最高経営責任者)は「経済の根幹は石油だが、新エネの開発を進め、技術の輸出を進めることが国の将来のために欠かせないことだ」と言い切る。

 同国の狙いはまず、新設する特区に海外の先進的な太陽電池などの技術を取り込み、そこで吸い上げた技術を応用発展させ、関連事業育成や技術輸出を目指すというものだ。

 ≪“枯渇後”への布石≫

 石油と投資事業以外にめぼしい産業がないアブダビは、新エネ技術の拡大など新産業育成によって、30年にはGDPに占める石油依存度を36%まで引き下げる計画。原油で潤う今のうちに、将来の経済ビジョンを明確にし、石油枯渇後に備えた次の“国家100年の計”の布石を打つ必要があるというわけだ。

 マスダールのアル・サイエ会長も「新エネの導入拡大は、将来の子供たちに何を残せるかという責務に対する答え」と話す。

 オイルマネーを使って太陽光などの製造設備の導入を進め、将来の“新エネ立国”を目指すアブダビ。太陽電池や風力発電など新エネルギーで世界の先頭に立つ技術を持つ日本企業にとって、新たな市場登場との期待が高まっている。

                   ◇

 ■東電など着々 欧米に迫る

 UAEは、日量157万バレルを日本に輸出し、日本の消費量の24%を占める第2位の原油輸出国で、親日国としても知られる。しかし日本企業のUAE進出は、原油や天然ガスの開発事業などに限定されていた。それだけに、アブダビが積極的に進める新エネルギーは、原油開発事業以外の分野でも日本企業の好機となる。

 新市場開拓を狙うのは、新エネ関連企業だけではない。都市開発の進展に伴う建設機械向け電力需要の拡大をにらんだ東京電力は、電力のコンサルティング事業に参画。当初は供給計画立案に携わるが、将来的にはUAEで導入が予定される原子力発電所の運営ノウハウの提供も検討する。日本ガイシも、アブダビから大容量の電力を貯蔵し、瞬時に供給できる「電力貯蔵用ナトリウム硫黄電池」(NAS電池)を5万キロワット分受注した。まず中心部の複数の変電所に納入。さらに大規模太陽光発電向けの展開も検討している。

 ただ、アブダビが太陽光などの先進技術分野で先頭を走る日米欧など先進国の企業を追い上げるのは容易ではない。日本エネルギー経済研究所の冨田哲爾研究主幹は「アブダビが単なる産油国から世界に通用する“技術立国”に飛躍できるかは、いかに優秀な人材を育成できるかにかかっている」と指摘する。

 マスダールシティーの事業計画に参画する日本企業はまだ少ない。中東の地政学リスクを勘案しているからだ。とはいえ、世界的な金融危機の影響で日本企業の海外投資の選択肢が限定される中、アブダビは「大きな成長機会がある」(マスダールのスルタン・ジャベルCEO)。アブダビでも高く評価される先端技術力をテコに、現在は欧米勢が優勢の市場に日本企業が食い込めれば、成長機会が広がるのは間違いない。(今井裕治)



少し前まで人気だったコマツなどの建設機械関連やエネルギー関連は安値で拾うチャンスですね。
3月の決算が出終わった4~5月あたりで市場心理がどうなっているか。
買いの一波はそのあたりでしょうか。
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